沼田 順(ファイナンシャルプランナー)- コラム「東京スター銀行の誤算」 - 専門家プロファイル

沼田 順
住宅金融公庫出身のFPが貴方のマイホームライフをサポート

沼田 順

ヌマタ ジュン
( 兵庫県 / ファイナンシャルプランナー )
Office JUN 代表
Q&A回答への評価:
4.6/88件
サービス:5件
Q&A:116件
コラム:535件
写真:0件
印刷画面へ
専門家への取材依頼、執筆や講演の依頼などは、こちらからお問い合わせください。
取材の依頼
「住宅ローン、不動産アドバイス」 (※外部サイトへのリンクです)
公式ブログ

東京スター銀行の誤算

- good

相談業務 店舗タイプ 2011-01-24 16:00

 

23日付けの日経新聞の報道によりますと、東京スター銀行の全株式を保有している国内最大の投資ファンドであるアドバンテッジパートナーズが、これ以上の株式保有は採算が見込めないとして、融資銀行団である新生銀行などに株式を無償譲渡する方向で調整しているようです。

 

日経新聞もできるだけ遠回しに書いていますが、簡単に言えばアドバンテッジパートナーズだけでは経営が苦しくなり、融資銀行団とともに再生を目指そうということです。

 

東京スター銀行はもともと1999年に経営破綻した東京相和銀行が前身で、その後は商号を変更し、特に住宅ローンなどの個人向け分野で様々な商品を提供してきました。

 

日本初の預金連動型住宅ローン「スターワン住宅ローン」や、昨年夏の期間限定で販売した支払金利0%の住宅ローン「スターゼロ住宅ローン」などは記憶に新しいところです。(但しどちらの商品もメンテナンス料などの名目での支払いが必要なため、絶対的に有利という訳でもありません)

 

しかし収益自体は2010年3月期に発足後初となる27億円の連結最終赤字を計上し、昨年の2010年4~9月期も31億円の赤字を計上しています。

 

何故こうなってしまったのか。今までの実務経験やお客様の声などを総合的に判断すると、ネット専業銀行であるソニー銀行や住信SBIネット銀行などの予想以上の躍進が一番影響しているように感じます。

 

東京スター銀行で住宅ローンを利用しようとするお客様は、住宅ローンの事を本当によく勉強されている方が多いです。逆に言えば、住宅ローンに関してそれだけシビアであるとも言えます。

 

ネット専業銀行が台頭する前であれば、有人店舗を持つ銀行の中では魅力的な金利設定などでお客様を成約まで持って行くことができました。

 

しかし、ここ数年は東京スター銀行を利用しようとするお客様のほとんどは、同時にソニー銀行や住信SBIネット銀行も選択肢に入れており、最終的に金利設定などの条件でそちらを選択するお客様の方が多いです。

 

こうなってしまうと金利以外の条件で付加価値を付ける必要があるのですが、日経金融機関ランキングでもサービスや提案力などの評価は高いものの、成約までもっていく決定打を打ち出せなかったことが最終的な原因のように感じます。

 

ただし、これは何も東京スター銀行に限った話ではありません。ネット専業銀行がコストを抑えて有利な金利を設定し融資残高を伸ばしているということは、それだけ今までの銀行のシェアを奪っていることに他なりません。

 

全国に店舗網を持つメガバンクなどは安心感という面で、ネット専業銀行をリードしている感はありますが、地元の地方銀行や信用金庫、信用組合はどこも苦戦しているようです。

 

今回の報道は住宅ローン競争の激しさを浮き彫りにするとともに、地元金融機関がネット専業銀行にはない付加価値をどれだけ提供できるかの課題を突きつけたものとも言えそうです。

 

沼田 順(CFP上級国際ライセンス)

 

約50の厳選されたファイナンス系ブログが参加している「BLOGOS finance」

そこに参加させて頂いている、私のブログも是非ご訪問下さいませ。

住宅ローン、不動産アドバイス

プロフィール評価・口コミ対応業務経歴・実績連絡先・アクセスサービスQ&Aコラム