住友信託銀行が住宅ローン拡充に走る理由
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最近、特に変動金利の分野において、住友信託銀行が優遇幅を拡大し、住宅ローン獲得に躍起になっています。利用者からみればありがたい話ですが、これは今年4月1日に段階的に中央三井信託銀行と合併することに大きく関係しているものと考えられます。
銀行の合併というのは本当に難しい話で、どちらが先に主導権を握れるかが後の経営方針や人事など、様々な分野に影響してきます。
今回の場合もまだ公的資金を返済できていない中央三井信託銀行を、住友信託銀行が救済合併するというのが大方の見方です。
しかし、住宅ローンに対する取組み姿勢や残高においては、数年前から中央三井信託銀行がメガバンクをしのぐ優遇幅で実績を上げており、主導権争いを確実にするためにも住友信託銀行としては住宅ローンで中央三井信託銀行には負けられないという事情があります。
審査基準が特別緩くなっている訳ではないので、住宅ローンの不良債権が急激に増える心配はないと思いますが、利鞘が稼げなくなっている部分は注視する必要があるでしょう。
信託銀行としてトップを目指すのは大いに結構ですが、規模だけではなく、財務体質など中身の部分においてもトップを目指して頂きたいと思います。
なお、最終的に誕生する三井住友信託銀行は現在の三井住友銀行とはまったく関係がありません。これも旧住友銀行と住友信託銀行の関係が昔から良くないことが原因だとは思いますが、利用者にとっては同じグループにしか見えません。
信託銀行を傘下に持たない三井住友FGにとっては、三井住友信託銀行を傘下にいれることは利用者目線からみれば当然のように感じますが、それができないのが現在の銀行業界の現実です。
国際競争に打ち勝つためにも、もう少しグローバルな視野で経営を考えられないものかと感じる、今日この頃です。
沼田 順(CFP上級国際ライセンス)
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