
間山 進也
マヤマ シンヤ国際出願の新たな試みがスタートします
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本年7月1日より、5大特許庁によるPCT協働調査試行プログラムというものが開始されます。
この試行プログラムは、通常、国際特許出願について、一つの特許庁が行っていた国際調査を、主担当の特許庁が副担当となる他の特許庁と協働して行うというものです。
特許庁が挙げている出願人側のメリットは、「より高品質な国際調査報告を得ることができ、より高い予見性を持って世界各国で特許権を取得できるようになる」ということです。
近年、中国や韓国などの特許出願の件数の増加が顕著であり、日本語や英語以外の文献の蓄積が今後ますます増えて行くことになります。そのため、5大特許庁の審査官による共同の成果物を得ることができ、その上で各国にてそれを踏まえた審査を経て権利を得ることができるということは、強く安定な権利で国際的な事業の保護を望む出願人にとって、大きなメリットになるかもしれません。
一方で、権利化のハードルが高くなり、権利範囲を狭める方向にはたらくとも考えられるため、利用を躊躇する出願人も多いと思われます。
複数の審査官による協働が、特許性を否定する方向だけではなく、広い権利範囲をとりたいという出願人の要望にも沿うような形で行われると、利用したいと考える出願人も増えるのではないかと考えます。
なお、2018年12月31日までは、英語の国際特許出願のみが対象であり、以降順次、英語以外の言語による特許出願も対象にできる方向で進められているようです。また、試行プログラム中は、本格実施されることになった場合に求める予定のCS&E手数料が不要で、調査手数料が据え置きとのことです。
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