- 間山 進也
- 特許業務法人エム・アイ・ピー 代表弁理士
- 弁理士
対象:特許・商標・著作権
- 河野 英仁
- (弁理士)
- 河野 英仁
- (弁理士)
本年から、知的財産に関連するお役立ち情報を「知的財産お役立ち情報」として毎月本コラムにアップロードさせていただくことにいたしました。2018/02は、ネットショップに関わる商標権についてです。
Aさんは、最近、ネットショップを開業しました。開業にあたって、Aさんが一番頭を悩ませたのがショップ名です。あーでもないこーでもないとさんざん悩んだあげく、やっとのことで〇〇〇に決まり、無事開業にこぎつけたのでした。しかし、ほっとしたのもつかぬ間、開業からひと月あまりが過ぎたある日、Aさんは、まったく同じ名前のネットショップが新しくオープンしているのに気づいたのでした。
Aさんは、怒りにふるえながら、すぐさまそのネットショップに電話をし、
「お宅の〇〇〇は、私が先に使用していたものです!直ちに、他の名前に変えてください!」とお願いしたところ、逆に、相手から、
「うちは、〇〇〇の商標登録出願をすでに済ませていますので、名前を変えなきゃいけなくなるのはお宅の方ですよ。」
と言い捨てられたのでした。
…さて、こんな理不尽なことが本当にまかり通るのでしょうか?
結論から言うと、まかり通ります。「そんなこと言ったって、〇〇〇は私が先に使い始めたんですよ!」とAさんはいうかもしれません。
商標法は、長く使用された結果、周知・著名になった商標を守るようにはできていますが(4条1項10号、15号、19号、32条)、Aさんのショップ名のように、使い始めたばかりの商標を守るようにはできていないのです。
「そんなこと言ったって、相手は明らかに私の考えた〇〇〇を真似してるんですよ!こんなことが許されるんですか?!」とAさんはいうかもしれません。
商標法は、「社会の公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反する商標(4条1項7号)」を登録しないようにはなっていますが、他人のそれを真似た商標が、即、公序良俗違反になるかというと、そうはならないのです。
自社の会社名や商品名を商標登録されていない方、たくさんおられます。そういった方々には、Aさんのような憂き目にあわないためにも、商標登録を強く勧めたいところなのですが、「え~、それって不安商法じゃん、怪しいな~~」と思われるのがいやなので、普段は、あまりそういう話はしません。
ですが、そういった大事なことをお伝えしないのも、考えてみれば無責任な話ですので、この場を借りてお話させていただいた次第です。この記事が商標登録の必要性を考えるきっかけとなれば幸いです。
このコラムの執筆専門家
- 間山 進也
- (弁理士)
- 特許業務法人エム・アイ・ピー 代表弁理士
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