田尻 健二
タジリ ケンジ最近、マズローの欲求段階説を誤用したような労務管理手法が注目され気になっています…
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マズローの著書『自己実現の経営』の「日本語版への序文」より
「(この本は)勤労者の労働搾取を目的としたガイドブックでないことは言うまでもない」
この文章に限らずマズローは、至るところで自らの理論が企業の経営者や政府機関などによって悪用されていることを力説しています。
そしてこのことはマズロー没後の今もなお続いていると思われます。
例 えば私が気になっているのは最近有益な労務管理手法として注目されている、非正規社員の方に対して、低い給与水準のまま盛んに仕事の出来を賞賛したり、感 謝や頼りにしているといった類の言葉を伝えたり、重要な仕事を任せることで、その方々の承認欲求を満たして勤労意欲をできるだけ高めることを意図した手法 です。
この手法の狙いは、私には人件費を極力抑えながら、従業員の方の勤労意欲を最大限に高めることにあり、これはマズローの危惧する労働搾取であるような気がしてなりません。
なぜならもし従業人の方の幸福を意図したものであるなら、より低次の、それゆえに、より急を要する欲求の部類に属する給与の方を先ずは改善しなければならないはずのためです。
マズローは、より高次の欲求の充足によって、より低次の欲求充足を代替できるとは述べていません。
むしろ低次の欲求が充足されて初めて、より高次の欲求が生じると述べてます。
しかしそれにも関わらず、この労務管理手法は実際に効果を上げ、だからこそ注目され多くの企業で導入されるようになってきています。
その理由は、いずれ近いうちに書かせていただく予定です。
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