山本 雅暁
ヤマモト マサアキグループ
日経記事;『20年のドイツは人口減に、コロナ下の移民急減で』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
6月22日付の日経新聞に、『20年のドイツは人口減に、コロナ下の移民急減で』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『ドイツの人口が2020年、11年以来初めて減少に転じた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)中に移民流入が急減したためだ。
ドイツ連邦統計庁によると、同国に暮らす人の数は1万2000人減少して8320万人になり、コロナ危機によって欧州最大の経済大国にのしかかる人口減少圧力が一段と顕著になった様子が浮き彫りになった。。。』
人口減少は、ドイツを含めた欧州、米国、日本などの先進国では深刻な課題になっています。
人口減少を経済面面から見ますと、その国の市場規模を左右する生産年齢人口の減少がポイントになります。
生産年齢人口は、経済用語の一つでありその国の労働力や中間所得層の規模を表します。OECD(経済協力開発機構)は、生産年齢人口を15歳から64歳までの人口として定義しています。
生産年齢人口は、上記しましたようにその国の労働人口であり、一般的にはその国の経済力を表します。
アセアン地域のタイを例にしますと、タイの生産年齢人口は2010年くらいまでは増えていましたが、その後横ばい状態から現在減少傾向に入っています。
生産年齢人口が以前のタイヤ中国のように急拡大している時期は、豊富な労働力確保が見込まれますので、製造拠点を作るのに向いています。
生産年齢人口が横ばいもしくは微減のような国は、経済力のある人口層がいますので、中間所得層があり一定規模の市場があることになります。現在のタイや中国になります。
このような国に製造拠点を確保する場合、労働賃金が高い労働者を獲得することになりますので、一般的には新規工場の建設に不向きになります。
私の支援先企業が海外販路開拓・集客を行う場合、まず確認するのがその国や地域の生産年齢人口の動きになります。
生産年齢人口が拡大しているか、横這いか、減少しているか、その絶対数などを確認して、対象市場として適しているかどうか、市場規模などの面から検討・確認します。
このように生産年齢人口は、大変重要な経済指標になります。
本日の記事にありますドイツは、欧州の中で最大の経済力をもっています。そのドイツの経済力を支えてきた力の源の一つが、人口増加です。
ドイツ人自体の人口は減少していますので、今までは中近東やアフリカなどの移民を受け入れることにより、人口増加や生産年齢人口の増加を担保してきました。
その移民受け入れが、新型コロナウイルスの影響拡大下でできなくなり、2020年の出生数が下がり、人口減少に直面したのです。
ドイツ政府は、人口減少や生産年齢人口減少が経済の不活性化につながることをよく理解していますので、新型コロナの影響がなくなれば、積極的に移民を受け入れる施策を実行することになるとみています。
私は、ドイツ市場は2022年以降拡大すると推測します。
ちなみに、最新の日本の生産年齢人口は、総務省が2021年6月21日に公表した統計から、15~64歳人口は 7443万7千人で,前年同月に比べ減少 ▲46万3千人 (▲0.62%)となっています。
https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
総人口は、1億2547万人で,前年同月に比べ減少 ▲39万人 (▲0.31%)となっています。
日本の総人口と生産年齢人口は、毎年確実に減少しています。日本では、ドイツのように移民政策は取れませんので、女性が安心して出産し、子どもを育て・教育を受けられるようにする環境整備が必要不可欠になります。
本日は、人口や生産年齢人口の観点から、ブログ・コラム記事を書かせてもらいました。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
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