山本 雅暁(経営コンサルタント)- コラム「日経記事;『オムロン、インドで高血圧遠隔診療 巨大市場データ活用』に関する考察」 - 専門家プロファイル

山本 雅暁
起業・企業存続の為の経営戦略立案・実行と、ビジネススキル向上

山本 雅暁

ヤマモト マサアキ
( 神奈川県 / 経営コンサルタント )
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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日経記事;『オムロン、インドで高血圧遠隔診療 巨大市場データ活用』に関する考察

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経営戦略 海外展開 2021-08-27 13:39

皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

8月17日付の日経新聞に、『オムロン、インドで高血圧遠隔診療 巨大市場データ活用』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『オムロンはインドで定額課金制の遠隔診療サービスを提供する

オムロンは高血圧患者が3億人にのぼるインドで遠隔診療に参入する。新興企業と組み、スマートフォンなど越しにサービスを提供する。新興国でも生活習慣病が社会問題化し、足元では新型コロナウイルス禍で医療が逼迫している。日本で普及が遅れる遠隔診療だが、デジタル技術で医療を効率的に提供する新たな選択肢として世界で広がる。。。』

 

本記事によると、オムロンは高血圧患者が3億人いる、つまり顕在化している需要が見込めるインドで、現地企業と協業;アライアンスを組んで高血圧・心電図 遠隔診療サービスを行うことになります。

 

実際、オムロン(オムロン ヘルスケア株式会社)が8月19日に発表しています、『インドにて、トライコグヘルス社・サクラワールドホスピタルと「AI解析技術を用いた高血圧・心電図 遠隔診療サービス」では、共同試験を開始試験導入して実証性を確認するとしています。

https://www.healthcare.omron.co.jp/corp/news/2021/0819.html

 

インドは、国土が広く人口も多い国であり、貧富の差が大きいので、オムロンが行う高血圧・心電図 遠隔診療サービスの実証試験が上手くいき、実用化されますと、インドの国民病克服の一助になります。

 

上記オムロンの発表記事の中に、以下の文章が書かれています。

『世界心臓連合(World Heart Federation)によると、世界の脳・心血管疾患による死亡者数は、推定1,850万人/年といわれており、そのうち4分の3以上が低所得国と中所得国(インド含む)で発生しています。インドにおける心疾患患者数は年々増加しており、2020年には290万人に達しています。。。』

私は、このオムロンの野心的な取組が成功することを祈念いたします。これは、オムロンの成功事例が、国内の遠隔医療支援ビジネスを行っている、あるいはこれから手掛けようとするベンチャーや中小企業にとって、参考情報になることによります

 

国内では、新型コロナウイルスの影響拡大下でも、遠隔医療はほとんど実現できていません。現政権は、遠隔医療の実施拡大を方針としてあげていますが、遅々として進んでいないのが実情です。

 

日本で遠隔医療が進まない要因は、診療報酬が安い、対面診断は遠隔医療より診断精度が高い、設備導入費用が発生する、手間がかかる、などのマイナス面ばかり強調されていることによります。

 

私は、国内医療機器・サービス提供企業を複数支援してきました。現在も支援しています。

 

欧米の医者や病院経営者と話すと、遠隔医療の検討や導入に前向きな場合が多くあります。その前向きな理由の一つが、より正確な診断を出せることにあります。

 

それは、遠隔医療で蓄積したデータや情報を人工知能(AI)に読み込ませることにより、医者が患者を診察するときに、より有用な診断補助情報を提供できることにあります。

 

もちろん、患者の状態や疾患内容により、対面診断の方が遠隔医療より精度の高い診断結果を出すことは、数多くあります。

 

しかし、遠隔医療を行うことにより、近くに医者がいなくても診断を受けられる患者のメリットは、計り知れないと考えます。

 

日本での遠隔医療の話題の中では、患者の利便性を考慮し、より精度の高い遠隔医療を実現するという、言わば患者ファーストの考え方が希薄だと考えます。

 

9月1日にデジタル庁が創設されます。現政権は、医療のデジタル化や遠隔医療の早期普及を方針として掲げていますので、今後、国内でも遠隔医療の本格導入が具体化する見込はあります。

 

国内の遠隔医療関連事業を行っているベンチャーや中小企業は、現時点では国内で大きな事業機会が見込めませんので、今回のオムロンと同じように、米国や欧州での事業化を行っています。

 

国内企業が、米国で事業するにはFDAの許認可取得が必要であり、欧州ではCEマーク取得が必要になります。

 

いずれの安全認証取得も、ベンチャーや中小企業には、取得費用や長い取得期間などが大きな負担となります。ベンチャーや中小企業は、これらの課題を克服する知恵とエネルギーが必要となります。

 

今回オムロンが行うように、現地企業との協業;アライアンスで解決を図るやり方は、有効な場合があります。

 

本来であれば、ベンチャーや中小企業は国内市場で事業化した後に、米欧などの海外市場に事業展開したいのですが、医療関連事業者には、難しい局面があります。

 

その視点から、今回のオムロンのインド市場への挑戦は、大きな関心をもっています。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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