部下へ贈る言葉の花束【第3章-5】 - キャリアプラン全般 - 専門家プロファイル

松山 淳
アースシップ・コンサルティング コンサルタント/エグゼクティブ・カウンセラー
東京都
経営コンサルタント

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対象:キャリアプラン

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部下へ贈る言葉の花束【第3章-5】

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部下へ贈る言葉の花束

日に新た(5)



 上島係長は、
 「そっそんな、やめてください」
 と、どもりながら頭をあげてくれるように懇願した。
 
 社長は頭をあげなかった。

 小さな部屋は静寂に包まれ、
 窓の外にある銀杏の葉が風に吹かれ宙に舞った。

 遼太は動けない。
 第一線から身を引こうとする老経営者と
 自分の仕事に対する情熱の度合いを比べ、恥ずかしくなっている。

 約八年間、不平不満の塊となって働いてきた。
 何度も辞めようと思った。
 経営陣を憎みさえした。
 そんな会社の中に、これほど情熱を持った人間がいたとは。
 しかもそれが経営トップであったとは。
 そんなことも知らなかったとは。

 遼太は唇を噛み、固く目を閉じた。

 社長はうつむいたまま眼鏡を外し、
 鼻をすすりながら何度か目を拭うと、
 突然顔をあげ「さあやるか」と大きな声を出した。

 いつもの表情を取り戻しA41枚ものの書類を二人に手渡し、
 話を再開した。

 ***

 新製品開発の方向性は、
 ユニバーサルデザインをベースとした文具キットであった。
 外部の著名プロダクトデザイナーと組み、
 デザイン性の高いものにする。
 プライスラインは高めで、親子をターゲットとする。

 創業以来「良品安心価格」を
 旗印にしてきた社の方針と明らかにくい違う。

 「なんか遼太のところのって使いやすいんだけど、安っぽいのよね」

 と、日頃から妻に言われていた。
 だから社長の話に身を乗り出し、
 第一希望の企業に就職が内定した学生のように遼太は目を輝かせた。

 ただ、スケジュールがきつい。
 大貫社長は株主総会で辞任を発表する予定で、
 なんとかそれまでに軌道に乗せたいと言う。

 一年も時はない。

                          つづく・・・

*1 
*1この物語はフィクションです。 登場する人物名・団体名等は実在のものと一切関係ありません。