部下へ贈る言葉の花束【第3章-4】 - キャリアプラン全般 - 専門家プロファイル

松山 淳
アースシップ・コンサルティング コンサルタント/エグゼクティブ・カウンセラー
東京都
経営コンサルタント

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閲覧数順 2024年04月17日更新

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部下へ贈る言葉の花束【第3章-4】

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部下へ贈る言葉の花束

日に新た(4)



 「なんだか、不思議な職務だな」

 「まあ、いいんです」

 「そうなの」

 「そうなんです。とにかく総務から出たかったんです」

 「なんか事情ありだね」

 「まあ」

 「でも、片足まだつっこんでるじゃない」

 「それは、そうなんですけど、とりあえずは、これで・・・」

 「まあいいか、今や我が社じゃ、お互い変わりものだからな」

 「でも、歴史を変えてきたのは、いつだって変わりものですよ」

 「ほう、大きく出たね、なんかおもしろくなりそうだ、まあ、よろしく」

 そう言うと、目尻のしわが目立つ白髪交じりの上島係長は
 大きな笑い声をあげ、遼太に握手を求めた。

 入社以来、社内の人間と握手したことなどない。

 異動にあたり人事部の担当者から「高卒の苦労人だよ」
 とだけ聞いていたが、
 本社の人間には無い人なつっこさに
 遼太はたじろぎ顔をひきつらせながらも、
 新しい上司となるこの人物に好感を持ち、
 総務課長とは違った人柄に安堵した。

 ほどなく社長が入ってきて、二人を前にビジョンを語った。

 「失敗したっていい。とにかく挑戦をして欲しい。
  もちろん、売上につながるような製品を完成させたい。
  だが、このプロジェクトの真の目的は、
  今のこの何とも言えない我が社の停滞した雰囲気をぶち壊すことにある。
  それが創業者としての俺の最後の役目だ。
  そのために、君たちは最高の人材だと思っている。
  年寄りの最後の願いだと思って聞いてやってくれ、頼む」

 二人の目を見つめそう言うと、社長は深々と頭を下げた。

 挨拶程度の会話しかしたことのない
 雲の上の人が見せる不意の行動に遼太は言葉を失った。


                     つづく・・・

*1
*1この物語はフィクションです。 登場する人物名・団体名等は実在のものと一切関係ありません。