=■ ハナミズキ ■= （花 樹 と歌）

=■ ハナミズキ ■=

♪ 空を押し上げて　手を伸ばす君 五月のこと ♪

　ハナミズキが凛として上を向いて咲く姿を見事に表現している、素敵な歌詞ですね。
ハナミズキは日本がアメリカに桜を送ったお礼に送られた木です。
日米親善の木が咲き誇る姿を平和にたとえ、『いつまでも平和が続きますように』と願った詩です。
素敵過ぎるその詩に負けず、今年もあちらこちらで、見事にゴールデンウィークの主役となっています。

　和名が混乱していたことでも知られていて、私が公共植栽をよく施した当時は、「アメリカハナミズキ」と呼ばれていました。
公共工事の設計図書にも＜アメリカハナミズキ＞と書かれていましたが、私にはとても違和感がありました。
ハナミズキがアメリカから送られた植物であるのは有名でしたが、もともとハナミズキと言う植物が日本にあったわけではなく、
花が美しいミズキ科の植物と言うことで作られた和造語であるのに、「アメリカのハナミズキ」と言う名前はおかしい。
そう思って調べたところ、当時はアメリカから来たヤマボウシに似た木と言うことで、「アメリカヤマボウシ」と呼ばれていたものが、
後に＜ハナミズキ＞と名づけられ、以前からあったアメリカヤマボウシとごっちゃになって「アメリカハナミズキ」と呼ばれるようになったみたいです。
　今では、ほとんど「ハナミズキ」と呼ばれ、「アメリカヤマボウシ」とも「アメリカハナミズキ」とも呼ばれなくなりました。
私は、アメリカヤマボウシが正しいと信じてきましたが、一青窈さんのハナミズキの歌詞の意味を知って、断然「ハナミズキ」だと思うようになりました。

歌ってすばらしいですよね。　　

「いつか必ず果てない波が止まりますように」。

　余談ですが、実はそのハナミズキの美しい花は、花びらではなく総苞です。花を支える部分です。
本当の花は目立たない小さな花ですが、それを支える、普段は脇役の総苞が美しく輝いています。
こんな風に少し違った観点で植物を感じると、ガーデニングが、もっと素敵になります。