- 中西 優一郎
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
- 兵庫県
- 弁護士
-
06-6435-8309
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
従業員20名の製造業の会社を経営しています。
1年で一番忙しい時期に、部下数人が、海外旅行に行くと、有給休暇を申請してきました。
人手が足りないので、申請を拒否しても問題ないでしょうか。
有給休暇は自由に取れるのが原則
労働者は、一定の期間働けば、有給休暇を取得することができます。
会社は、6か月以上継続勤務している社員で、全労働日の8割以上出勤した人に有給休暇を与える義務があります(労働基準法39条1項~3項)。
労働者が、有給休暇を取ろうと思ったときには、会社に具体的に休む日を指定して申し出れば、原則として、指定した日がそのまま有給休暇の日になります。
有給休暇は、原則として、社員の希望する日に取らせなければなりません(同条5項)。
事業の運営に支障を来す場合、時季変更権を行使できる
もっとも、会社の繁忙期に、社員に一斉に有給を取得されたら、会社は困ってしまいます。
そこで、労働基準法では、両者の調整を図って、社員の請求どおりに有給を与えると事業の正常な運営に支障を来す場合には、会社は他の時季に変更を要求できるとしています(同法39条5項但し書き)。
これを「時季変更権」といいます。
事業の正常な運営に支障を来す場合とは、事業の規模、内容、当該労働者の担当する作業の内容、性質、繁忙、代行者の配置の難易など、様々な状況を総合的に考慮して判断する必要があります。
単に人手不足とか、仕事が多忙という理由だけでは、時季変更権の行使は難しいと考えられます。
まとめ
有給休暇は、原則として、社員が請求した日に与える義務があります。
但し、請求した日に有給を与えると、事業の正常な運営を妨げる場合、会社は有給取得日を他の時季に変えることができます。
したがって、会社は、まず、申請してきた社員の有給により事業の運営がどの程度妨げられるか、代替の勤務者を確保することができるかなど、できる限り労働者が指定した時季に休暇を取得することができるよう、状況に応じた配慮をする必要があります。
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このコラムの執筆専門家
- 中西 優一郎
- (兵庫県 / 弁護士)
- 弁護士法人アルテ 代表弁護士
企業法務から身近な法律相談まで幅広く対応いたします。
弁護士法人アルテ代表弁護士。東京大学法学部卒。企業法務に従事し、労働問題(会社側)に精通。著書「外国人雇用の実務」(同文舘出版)。ラジオ番組出演(FMあまがさき「中西優一郎のLaw and Order」)。商工会議所、大学、企業での講演・セミナー多数。
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人事・労務・労働問題(使用者側)の案件を多く取り扱っています。
企業内外において、人事・労務・労働問題に関する講演・セミナーも行っています。
尼崎で開業する前は、東京の外資系法律事務所、及び国内企業法務を取扱う法律事務所にて勤務し、労働問題、コーポレート/M&A、ファイナンス等の企業法務に従事していました。
英語を使用する業務(英文契約書の作成、外国人の方の雇用手続等)にも積極的に取り組んでいます。
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