【世界を旅して働くレシピ（１０）】　旅する目的と「働く」こ…

タイのカオサンロードで出会った男の子は
自分が生きていることを実感したいから旅しているって言ってた

中国のゲストハウスで一緒だったおじいちゃんは
世界の山に登りたくて旅をし続けているって言ってた

ラオスのバーで出会ったニュージランドのおじさんは
数週間の休暇を充実したいからこんなに遠くまで
来てるんだって言ってた

会社を辞めてチベットを旅していた夫婦は
今こうして旅することが楽しくて
この先の事なんて考えていないって言ってた

そういう話を聞くたびに
私の旅する目的ってなんだろう
っていつもいつも思ってきたのだけど
明確な答えがない

最初はただただ自分が知らなかった世界を
知ることがうれしかっただけで

でもチベットに行った頃は
強くなるための修行のような気もしていたし

アフリカに行った頃は
背負っている重いものを捨てて
０になるためのものになっていたし

最近はゆったり過ごして
その時間を楽しむものになっているし

旅する目的が変わってきたように
自分の思いも自分自身もこうして変わってきてしまった
でも
それが時間を積み重ねていくということなんだと思う

写真家の星野道夫さんの
「旅をする木」
一つの木がその木が命を失っても
そこから受け継がれたものたちが育っていく話
木々だって長い旅をしている

人の生き方も同じ
出来事の一点で終わるのではなく
旅から旅へとつながって
そして今の自分がいる

タイで助けてもらった感謝の思いも
カンボジアで感じた思いも
インドであった事故も
アフリカの過酷な旅も
全部つながって今の私を作っている

全部つながって
その人の生き方が作られていくの

働くことだって同じこと

何の職業を経験した
どんな役職についた
という一点ではなく
それらが全部つながって
その人の仕事人生を形作っていく
そしてそれがその人の「生き方」となるの

いいことも
悪いことも
苦しかった事も
悔しかった事も
うれしかった事も
全部がつながって
そしてその延長線上に
その人の「キャリア」といわれるものができる

それは点ではなく
線として存在するもの

だからそれらが線になるような
仕事をして
線として続いていく生き方がしたい

星野道夫さんがアラスカに移り住み
旅をし続けるような人生を選び
そして44歳という若さで亡くなった後も
その生き方が誰かに何かを伝え続けていて
それから何十年間も線になって続いている
それは星野さんと星野さんが残したものが旅し続けているということ

私たちがする「仕事」や
私たちが生きる「生き方」が
ずっと旅をして続いていく

私たちがいなくなっても
そこに残したものたちが旅し続けていくようなそんな生き方がしたい

旅する目的と言えるのか
どうかわからないけど
旅が海外を旅する事だけではないとすると

その一点一点をきちんと生きて
そしてそれを続けていく事の中にその意味がある気がしている





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