米国改正特許法逐条解説 第3回 (第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国改正特許法逐条解説 第3回 (第4回)

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米国改正特許法逐条解説 (第4回)

~第3回 2011年改正法の要点~

 河野特許事務所 2012年3月23日 執筆者:弁理士 河野 英仁

 

 

改正前

改正後

第273 条 先発明者であることを理由とする侵害に対する抗弁

(a) 定義

本条の適用上,用語の意味は次のとおりとする。

(1) 「商業的に使用される」及び「商業的使用」とは,その使用が有用な最終的成果についての内部的な商業的使用又は独立当事者間の売買若しくは他の独立当事者間の商業的移転に関連している限りにおいて,合衆国内における方法の使用をいい,問題とされる主題が公衆に利用可能であるか又はその他の形で知られているか否かを問わない。ただし,主題であって,その商業的な販売又は使用が第156 条(g)に定めた期間を含め,その主題の安全性又は有効性を確認する販売前行政審査期間の適用を受けるものは,当該行政審査期間中,「商業的に使用され」ており,かつ,「商業的使用」中であるものとみなされるものとする。

(2) 非営利的研究機関又は大学,研究センター若しくは病院等の非営利団体が行う活動については,公衆を予定受益者とする使用は,(1)に記載した使用であるとみなされるものとする。ただし,当該使用は,

(A) 前記の研究機関又は非営利団体により,及び,そこにおいて継続的に使用されていた場合に限り,本条に基づく抗弁として主張することができ,また

(B) 前記の研究機関又は非営利団体外でのその後の商業化又は使用に関しては,抗弁として主張することができない。

(3) 「方法(method)」とは,事業を行う又は運営する方法をいう。また

(4) 特許の「有効な出願日」というときは,特許出願の実際の出願日,又はその主題が第119条,第120 条若しくは第365 条に基づく権利を有する先の合衆国,外国若しくは国際出願の出願日の内の何れか早いものをいうものとする。

(b) 侵害に対する抗弁

(1) 全般

ある者に対して,抗弁がなければ,特許の中の方法に係る1 又は2 以上のクレームを侵害すると主張される主題に関する,第271 条に基づく侵害訴訟に対しては,当該人が善意で,当該特許に係る有効な出願日より少なくとも1 年以上前にその主題を現実に実施化しており,かつ,当該特許に係る有効な出願日前にその主題を商業的に使用していたことは,抗弁であるものとする。

(2) 権利の消尽

特許方法によって作成された有用な最終製品に関する販売その他の処分であって,当該の有用な成果に関して本条に基づく抗弁を主張する権利を有する者が行うものは,当該販売その他の処分が特許所有者によって行われた場合は,特許に基づく特許所有者の権利が消尽するときは,その権利を消尽させるものとする。

(3) 抗弁に関する制限及び条件

侵害に対する本条に基づく抗弁は,次に掲げる規定に従わなければならない。

(A) 特許

抗弁を主張する対象である発明が方法でない限り,人は本条に基づく抗弁を主張することができない。

(B) 出所

抗弁の基礎とする主題が特許権者,又は特許権者の利害関係人を出所とするものであるときは,人は本条に基づく抗弁を主張することができない。

(C) 包括的許諾ではないこと

本条に基づいて人が主張する抗弁は,該当する特許の全てのクレームに基づく包括的許諾ではなく,当該人がこの章に基づいて抗弁を主張することができる,特許においてクレームされている特定の主題のみを対象とする。ただし,当該抗弁は,主張される主題についての使用量の変化,及びクレームされている主題における改良であって,その特許に関して明示してクレームされている追加の主題を侵害しないものも対象とするものとする。

(4) 立証責任

本条に基づく抗弁を主張する者は,明解で説得力のある証拠によってその抗弁を立証する責任を負うものとする。

(5) 使用の放棄

主題の商業的使用を放棄した者は,当該放棄の日の後に行われた訴訟に関して本条に基づく抗弁を立証するとき,放棄の日前に行った活動に依存することができない。

(6) 人的抗弁

本条に基づく抗弁は,抗弁を立証するために必要な行為を行った者のみが主張することができ,また,抗弁を主張する権利は,特許所有者への移転の場合を除き,当該抗弁に関連している企業全体又はその事業部門の他の理由による善意の譲渡又は移転に係る付帯的及び付随的部分として行う場合を除いては,他人に許諾又は譲渡又は移転をすることができない。

(7) 場所に関する制限

本条に基づく抗弁が,その抗弁が関連する企業全体又は事業部門の善意の譲渡又は移転の一部として取得された場合は,当該抗弁は,特許に係る有効な出願日又は当該企業の譲渡若しくは移転の日の内の遅い方の日より前に,抗弁が存在していなければ1 又は2 以上のクレームを侵害することになる主題が使用されていた場所における使用についてのみ主張することができる。

(8) 抗弁主張の不成功

本条に基づく抗弁が特許を侵害したと認定された者によって主張され,当該人がその後,抗弁を主張するための合理的根拠を証明しなかった場合は,裁判所は,第285 条に基づいて弁護士費用を裁定する目的上,例外的事件であると認定するものとする。

(9) 無効性

特許は,本条に基づいて抗弁が提起又は立証されたことのみを理由として,第102 条又は第103 条に基づいて無効であるとはみなされないものとする。

第273条 先商業的利用に基づく侵害に対する抗弁

(a)概要-クレーム発明を侵害すると主張される被疑侵害者は、米国特許法第282条(b)(特許無効の抗弁)の規定に基づき、方法、機械、製品、または製造に用いる組成物または商業的方法からなる主題に関し、以下の条件に従い抗弁権を有する—

 (1)善意の当該被疑侵害者が、米国で、国内商業使用または独立当事者間の商業的譲渡または当該商業的使用が有用な最終成果となる他の独立当事者間の商業的譲渡のいずれかに関連して、商業的に当該主題を使用した場合;及び

 (2)当該商業的使用が以下のいずれか早いときから少なくとも1年前に始まっていること—

  (A)発明の有効出願日

  (B)クレーム発明が米国特許法第102条(b)(新規性喪失の例外)に基づく先行技術の例外規定を満たす方法で公衆に開示された日

(b)証明の責務-本章に基づく抗弁を主張する被疑侵害者は、明確かつ説得力ある証拠をもって当該抗弁を確立する責務を負う。

(c)その他の商業的使用-

 (1)市販前の行政審査-商業的マーケティングまたは使用が市販前の行政審査期間(米国特許法第156条(g)(行政審査)により特定される期間を含む主題の安全及び有効性が確立される期間)に制約される主題は、当該行政審査期間の間(a)(1)の目的のために商業的に使用したと見なされる。

  (2)非営利実験的使用-公衆受益者とする大学または病院等の非営利研究所または他の非営利団体による主題の使用は、(a)(1)にいう目的での商業的使用と見なされる。ただし、本セクションに基づく抗弁が、継続使用及び非商業的使用だけのために、研究所または他の非営利団体により、研究所または他の非営利団体において、本パラグラフに準じて主張される場合を除く。

(d)権利の消尽--(e)(1)の規定にかかわらず、有用な最終成果の販売または他の処置が,当該の有用な成果に関する特許に対して本条に基づく抗弁を主張する権利を有する者によって行われる場合、当該販売その他の処置が特許所有者によって行われた場合に当該特許に対する特許所有者の権利が消尽するのと同程度、特許所有者の権利を消尽させる。

(e)制限及び例外-

 (1)個人の抗弁-

 (A)概説-本章に基づく抗弁は、

 (a)に規定する商業的使用を処理しまたは商業的使用の処理を命令した者によってのみ、または、

 管理が当該者によりコントロールされる団体、または、管理が当該者の共通管理下にある団体によってのみ主張できる。

 (B)権利の移転--特許所有者への移転の場合を除き,本章に基づく抗弁を主張する権利は、当該抗弁に関連している企業全体又はその事業部門の他の理由による善意の譲渡又は移転に係る付帯的及び付随的部分として行う場合を除いては,他人に許諾又は譲渡又は移転をすることができない。

 (C)場所の制限—本章に基づく抗弁は、サブパラグラフ(B)に規定した譲渡または移転の一部として者により取得された場合、クレーム発明の有効出願日または当該企業の譲渡若しくは移転の日の内の遅い方の日より前に,抗弁が存在していなければクレーム発明を侵害することになる主題が使用されていた場所における使用についてのみ主張することができる。

 (2)由来(Derivation)

抗弁の基礎とする主題が特許権者,又は特許権者の利害関係人を出所とするものであるときは,人は本条に基づく抗弁を主張することができない。

  (3)包括的許諾ではないこと

 本条に基づいて人が主張する抗弁は,該当する特許の全てのクレームに基づく包括的許諾ではなく,本章の要件に合致する商業的使用が発生したとことが確立された主題のみを対象とする。ただし,当該抗弁は,主張される主題についての使用量の変化,及びクレームされている主題における改良であって,その特許に関して明示してクレームされている追加の主題を侵害しないものも対象とするものとする。

  (4) 使用の放棄

主題の商業的使用(本章の要件に合致する商業的使用)を放棄した者は,当該放棄の日の後に行われた訴訟に関して本条に基づく抗弁を立証するとき,放棄の日前に行った活動に依存することができない。

 (5)大学例外-

 (A)概説-発明時に抗弁が主張されるクレーム発明が、高等教育機関(1965年高等教育法 (20 U.S.C. 1001(a))第101(a)により定義されるもの)、または、一または複数の高等教育機関により開発された技術の商業化促進を主目的とする技術移転機構(technology transfer organization)のいずれかに所有されるか譲渡義務がある場合、サブセクション(a)が適用される主題を商業的に使用する者は、本章に基づく抗弁を主張することができない。

 (B)例外-当該クレーム発明の主題の実施化に必要な活動が、連邦政府により提供される資金を用いて行われない場合、サブパラグラフ(A)は適用されない。

(f)抗弁の非合理的主張

 本条に基づく抗弁が特許を侵害したと認定された者によって主張され,当該人がその後,抗弁を主張するための合理的根拠を証明しなかった場合は,裁判所は,第285 条に基づいて弁護士費用を裁定する目的上,例外的事件であると認定するものとする。

(g)無効性

 特許は,本条に基づいて抗弁が提起又は立証されたことのみを理由として,第102 条又は第103 条に基づいて無効であるとはみなされないものとする。

 

(第5回へ続く)

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