米国特許判例紹介 (第2回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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対象:特許・商標・著作権

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米国特許判例紹介 (第2回)

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米国特許判例紹介  (第2回)

アップル・サムスンのスマートフォン特許訴訟

~ソフトウェア特許の文言解釈~

河野特許事務所 2013年1月3日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

                               Apple Inc.,

                                         Plaintiff-Appellee,

                               v.

                     Samsung Electronics Co., Ltd., et al.,

                                       Defendants- Appellants.

 

3.CAFCでの争点

争点: 被告製品の構成がクレームの技術的範囲に属するか否か

 本控訴審で争点となったのは604特許のクレーム6[1]である。クレーム6の内容は以下のとおり。

 

6. ネットワークにおける情報検索装置において、

入力された情報記述子descriptorをユーザ入力装置から受信するよう構成されたインターフェースモジュールと、

受信した情報記述子に対応する情報を検索するよう構成される複数の発見的モジュールと、

各発見的モジュールは各検索エリアに対応し、異なる予め定められた前記各エリアに対応する発見的アルゴリズムを有し、検索エリアは、装置によりアクセス可能な記録媒体を含み、

前記複数の発見的モジュールにより検索された一または複数の候補情報項目を表示装置に表示するよう構成される表示モジュールを備える。

 

 クレーム6に示すように、ユーザが検索を行った場合、命令は各エリアに設けられる発見的モジュールに出力される。発見的モジュールから出力された検索結果は、収集、フィルタリングされ、最終的にユーザに表示される。

 

 ここで、クレーム6は「各発見的モジュールは・・・異なる予め定められた前記各エリアに対応する発見的アルゴリズムを有」すると記載されている。すなわち、クレーム6は各発見的モジュールが異なる発見的アルゴリズムを有すると規定している。

 

 これに対し、イ号製品は、6つのモジュールの内3つは異なるユニークな発見的アルゴリズムを有するが、残りの3つは他のモジュールと同じ発見的アルゴリズムを有していた。具体的には、イ号製品は以下の異なる発見的アルゴリズムを有するモジュールを備えていた。

 

(i)Google:インターネット検索を行う。

(ii)ブラウザ:インターネットのブラウジング履歴を検索する。

(iii)People:ユーザの連絡リストを検索する。

 

 ただし、他の3つのモジュールは上述したモジュールと同一の発見的アルゴリズムを有していた。

 

 このような場合に、イ号製品の構成が、クレーム6の構成要件を具備するか否かが問題となった。

 



[1] クレーム6

6. An apparatus for locating information in a network, comprising:

an interface module configured to receive an in-putted information descriptor from a user-input device;

a plurality of heuristic modules configured to search for information that corresponds to the received information descriptor, wherein:

each heuristic module corresponds to a respective area of search and employs a different, predetermined heuristic algorithm corresponding to said respective area, and the search areas include storage media accessible by the apparatus; and

a display module configured to display one or more candidate items of information located by the plurality of heuristic modules on a display device.

(第3回へ続く)

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