米国改正特許法逐条解説 第2回 (第14回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国改正特許法逐条解説 第2回 (第14回)

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米国改正特許法逐条解説  (第14回)

~第2回 冒認出願とレビュー手続~

河野特許事務所 2012年 2月8日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

7. ビジネス方法特許に対する暫定プログラム(AIAセクション18)

(1)改正の趣旨

 米国ではビジネス方法そのものは抽象的なアイデアとして特許を受けることができないが、情報処理技術に組み込むことで一定条件下特許を受けることができる。しかしながら、ビジネス方法特許については影響力が大きいため、通常のPGRに加えて、8年を限度としてビジネス方法特許に対する暫定的なPGRを認めることとした。

(2)主体的要件

 申立人、または、申立人の実際の利害関係人若しくは利害関係人が、特許権侵害訴訟で提訴(sued)されない限り、または、特許権侵害を問われない(charged)ない限り、申立人は、ビジネス方法特許に関する暫定手続の申し立てを提出できない。

(3)申し立て理由

 PGRの規定を準用しており、PGRと同じく全ての無効理由、すなわち、保護適格性、新規性、非自明性、記載要件等について争うことができる。なお、ベストモード要件は争うことができない。

(4)申し立て対象特許要件

 BM特許のみが暫定PGRの対象となる。ここで、BM特許とは以下のとおり定義される。

 「対象となるビジネス方法特許(covered business method patents)」とは、金融商品・サービスの業務、管理または経営に用いられるデータ処理または他のオペレーションを実行する方法または対応する装置をクレームする特許をいうが、技術上の発明特許を含まない。

 そして、この「技術上の発明特許」については後日長官が規則により定義する。

(5)時期的要件

 1年後のAIAセクション18発効後であれば、遡っていつでもBM特許に対する暫定PGRを請求することができる。

 すなわち、参考図5に示すとおり、1年以内(2012年9月16日まで)に長官は、ビジネス方法特許の有効性についてレビューするための暫定PGR手続を設立及び導入する規則を発行する。そして、1年後にAIAセクション18が施行された場合、セクション18の有効日前に、または、後に発行されたビジネス方法特許に対し、暫定PGRを申し立てることができる。

 参考図5

(6)暫定PGRの手続

 原則として通常のPGRと同様の手続により処理が進められる。例えば上述した請求期間に関する規定(米国特許法第321条(c))は準用しない。

(7)先発明主義及び先願主義と暫定PGRとの関係

 暫定PGRは2012年9月16日に効力を発するが、それ以前に成立したBM特許に対しても申し立てることができる。その際、参考図6に示すように、有効出願日が2013年3月16日前の有効出願日を有するBM特許に対しては、改正前102条及び103条(先発明主義)が適用され、有効出願日が2013年3月16日以降の有効出願日を有するBM特許に対しては、改正後102条及び103条(先願主義)が適用される。

 参考図6 

(8)BM特許の禁反言

 BM特許に対する暫定PGRの申立人、または、申立人の実際の利害関係人は、民事訴訟において、または、ITCにおいて、申立人が暫定手続において既に主張しまたは合理的に主張したであろういかなる理由によっても、クレームが無効であるとの主張をすることができない。この点禁反言が発生するPGRとIPRと共通する。

(9)BM特許と裁判籍~ATM(現金自動預け払い機)の排除~

 裁判籍は、原則として被告居住地、侵害行為地または営業本拠地によって決定される(28 U.S.C 1400条(b))。ただし、BM特許の場合、特許権侵害訴訟において、ATMは、米国法典第28巻第1400条(b)における「営業本拠地(regular and established place of business)」とは見なされない(AIAセクション18(c))。

  銀行のATMは全米各州に配置されることから、従来は営業本拠地と見なされていた。これでは、全ての州が裁判籍として選択されるという問題があった。そこで、ATMだけを例外的に営業本拠地とは見なさない旨規定したものである。

 

(第15回へ続く)

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