- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
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対象:事業再生と承継・M&A
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【コラム】オーナー社長からのクビ宣告
中小企業においては,オーナー社長が会社の人事について実権を握っていることが多くあります。しかし,オーナー社長が取締役または従業員に対して,いわゆるクビを言い渡したとしてもそれが法的に有効な主張となるかどうかは慎重に検討する必要があるでしょう。 まず,代表取締役の解職権限は,取締役会設置会社においては,取締役会にあります(会社法362条2項3号)。取締役会の解職決議により代表取締役は平取締役になります。 そして,取締役の解任権限は株主総会にあり(会社法339条1項),この権限を代表取締役に委譲することは認められません(会社法295条3項)。したがって,オーナー社長が代表取締役を単独で解職させたり,取締役を解任することはできません。オーナー社長のクビ宣告は,当該取締役にする退職勧奨であると法的に評価できます。 また,クビ宣告を受けた者が部長クラスであった場合,「支配人その他の重要な使用人の選任及び解任」は取締役会にその権限があり,その決定を代表取締役に委任することはできません(会社法362条4項3号)から,その解雇についてオーナー社長が一人で決めることはできません。 ただし,例外として,株主が一人会社で,かつ,取締役会非設置会社の場合には,オーナー社長のクビ宣告が有効となる場合があります。 さらに,平社員であっても,解雇権濫用法理により労働者は保護されますから,「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない」限り,解雇は無効となります(労働契約法16条)。したがって,役員クラスでない社員も,社長からクビ宣告を受けたからといって,当然に解雇が認められるわけでないといえます。 |
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