遺留分権利者の減殺請求対象の選択権 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2017年08月18日更新

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遺留分権利者の減殺請求対象の選択権

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【コラム】遺留分権利者の減殺請求対象の選択権

 民法1034条は,複数の遺贈(贈与についても類推されます。注釈民法(26)378頁)が数人に対してなされた場合を前提にし,受遺者(受贈者)相互間の公平を図る見地から設けられた規定であり,一人に対して複数の物件が遺贈(贈与)された場合には適用がないといわれています(高木多喜男「減殺請求権の行使方法(2)」新版相続法の基礎328頁,329頁)。

 そこで,同一人に対して,複数の遺贈(贈与)が同時になされ,遺留分保全のためにはその一部のみ減殺すれば足りる場合に,遺留分権利者が任意に減殺対象物を選択できるのか,問題になります。

 反対の裁判例もありますが,遺留分権利者に減殺請求対象の選択権を認めない見解(徳島地判昭和46・6・29判タ265-176,東京地判昭和61・9・26家裁月報39巻4号61頁)が有力であり,東京家庭裁判所の遺産分割専門部の現在の実務です。すなわち「一個の遺贈行為による数個の物件の所有権移転処分が減殺された場合は減殺者に減殺物件選択の余地はなく,そのすべての物件についてそれぞれに遺留分の割合に応じてその持分権が減殺者に移転し,右数個の物件に右割合による共有関係が生ずると解されています。前掲東京地判昭和61・9・26は,その理由として①減殺者に選択権を認める法文上の根拠はない,②これを認めると減殺者に恣意を許すこととなり,③その後に予想される遺産分割等の内容を減殺者が一方的に先取りしてしまうことにもなることを挙げています。

 なお,最高裁は,遺留分は,遺留分算定の基礎となる財産の一定割合を示すものであり,遺留分権利者が特定の財産を取得することが保障されているものではないとして,遺留分権利者による目的物の選択権を認めないとの判断を示した(最判平成12・7・11民集54巻6号1886頁)との学説もあります(能見善久・加藤新太郎編『判例民法10』452頁。『判例民法10』は最判平成12・7・11を根拠に遺留分権利者の選択権が否定されると考えているようです)。ただし,最判平成12・7・11は受贈者・受遺者側が受贈物件の全部または一部について価額弁償の選択権を有すると判示した判例であって,遺留分権利者による目的物の選択権を認めるかどうかについてまでは判示していないと理解するのが自然と考えられます。

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