価額弁償における遺留分額算定の基準時および遅延損害金の起算点 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:民事家事・生活トラブル

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閲覧数順 2016年12月04日更新

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価額弁償における遺留分額算定の基準時および遅延損害金の起算点

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【コラム】 価額弁償における遺留分額算定の基準時および遅延損害金の起算点について

 遺留分減殺請求の効果は現物返還が原則ですが,遺留分減殺請求を受けた者は価額弁償によって現物返還の義務を免れることができます(民法1041条)。そして,現物返還の義務を免れるためには,価額弁償のための弁済の提供をしなければならず,価額弁償の意思表示をしただけでは足らないとされます(最判昭和54・7・10民集33巻5号562頁)。

 では,価額弁償における遺留分額算定の基準時および遅延損害金の起算点はいつになるのでしょうか。

 まず,価額弁償における遺留分額算定の基準時は,価額弁償が現物返還に代わるものとしてこれと等価であるべきことから,価額弁償のための弁済の提供時となり,遺留分権利者が価額弁償を請求する訴訟においては

事実審の口頭弁論終結時であるとされます(最判昭和51・8・30民集30巻7号768頁,最判平成9・2・25民集51巻2号448頁)。ただし,民法1040条の価額弁償について,受贈者が目的物を第三者に譲渡した,その譲渡の価額が客観的に相当と認められる場合には,譲渡の価額が基準時となります(最判平成10・3・10民集52巻2号319頁)。

 つぎに,遅延損害金の起算点は,遺留分権利者が価額弁償請求権を確定的に取得し,かつ,受遺者に対し弁償金の支払を請求した日の翌日になります。そして,受遺者が価額弁償の現実の提供をせず,その意思表示をしたにとどまっている場合には,遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした時に,遺留分権利者は所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い,これに代わる価額弁償請求権を確定的に取得すると解されています(最判平成20・1・24民集62巻1号63頁)。この判例の考え方によれば,遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償を請求する権利を行使する旨の意思表示をした時から,遺留分権利者は受遺者の無資力のリスクを負うことになります。

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