- 尾上 雅典
- 行政書士エース環境法務事務所
- 大阪府
- 行政書士
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
12月16日に配信したメールマガジンを転載します。
富山高等専門学校の河合准教授が、廃棄するPCの基盤から金を抽出する薬
剤を開発した という報道がありました。
NHKニュース
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111213/t10014597413000.html
この薬剤は、王水のような強酸性ではなく、弱酸性のため、安全かつ廃棄す
る際の環境負荷を低減させることが可能ということです。
※富山高等専門学校 http://www.nc-toyama.ac.jp/
河合准教授は、金リサイクルのためにこの技術を研究されたわけではないた
め、ビジネス面での実用性を論じるのは適切ではないかもしれません。
が、そこは頭の体操のためということでお許しいただくとして、あえて野暮
な話をしたいと思います。
結論から先に言うと、工程の金の回収率の低さや、回収に要する手間や時間
の問題から、この薬剤を用いて金回収を事業としてやるのは難しそうです。
しかしながら、強酸性の薬品ではなく、弱酸性の薬品でも回収ができるとい
うところが最大の長所です。
日本よりもむしろ、経済発展中の他国の方に最適な処理技術かもしれません。
中国におけるE-WASTEの問題で明らかなように、経済発展を優先させ
る国では、安全性に目をつぶり、効率性を優先させることがしばしばです。
そのような国では、人件費が日本よりも安い状態ですので、多少の手間や時
間が必要だったとしても、安全なリサイクル技術の方が採用される可能性があ
ります。
ただ、とある国がこぞって安全な薬品処理を導入し、世界中の使用済みPC
を一手に集め、金の回収を行うような事態になると・・・
希少資源である金が一国に集中する事態となりそうです。
今後の研究によっては、金の回収率が上がったり、回収プロセスの効率化も
可能と思われますので、産業界も是非研究に加わってほしいものです。
大いなるポテンシャルを秘めた新技術だと思うのですが、あなたはどう思い
ますか?