米国改正特許法逐条解説 第2回 (第9回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国改正特許法逐条解説 第2回 (第9回)

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米国改正特許法逐条解説  (第9回)

~第2回 冒認出願とレビュー手続~

河野特許事務所 2012年 1月27日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

(6)他の訴訟との関係

(i)特許有効性に関する民事訴訟との関係

 IPR申し立て日前に、申し立て人が特許のクレームの有効性について争う民事訴訟を提起している場合、IPRは開始されない(315条(a)(1))。

 申立人が、IPRを提出する日以降に特許のクレームの有効性を争う民事訴訟を提起した場合、当該民事訴訟は自動的に中断される(315条(a)(2))。

(ii)特許権侵害訴訟との関係

 申立人が、特許権侵害訴訟を提起した日から1年を超えて、IPRを申し立てた場合、時期遅れであるとして、IPRは開始されない(315条(b))。

(7)IPRと禁反言

 IPRの申立人は、特許庁に対し、申立人が既にIPR手続で主張し、または、合理的に主張し得た何らかの理由に基づいて、当該クレームに関する手続を要求または維持することができない(315条(e)(1)。

 また、IPRの申立人は、民事訴訟、または、ITCにおける手続のどちらかにおいて、当該クレームが、申立人がIPR手続において既に主張しまたは合理的に主張し得たであろう何らかの理由によって無効であるとの主張することができない(315条(e)(2))。

(8)IPRの手続

 ディスカバリが行われる。ただし、当該ディスカバリは以下に限られる。(316条(a)(5))

  (A)宣誓供述書または宣言書を提出する証人の宣誓証言(deposition);及び

  (B)その他、司法手続上必要なもの

 審理はPTABがおこなう。審理において、申立人は、証拠の優越preponderance of the evidenceに基づき非特許性の主張を証明する義務を負う(316条(e))。これは裁判所で要求される証拠基準、「明確かつ説得力ある証拠clear and convincing evidence」よりは低い。

(9)特許権者の対抗手段

(i)予備反論

 特許権者は、IPRを開始すべきでないという反論理由を記載した予備反論を提出することができる。長官は申し立てから3月内に開始するか否かを決定する。なお当該決定に対して不服申し立ては認められない(313条、314条)。

(ii)補正

 IPRの間、特許権者は原則として1回補正することができる。補正の内容は以下のとおりである。

 (A)申し立てられた特許クレームをキャンセルする

 (B)各申し立てられたクレームについて、合理的な数の代替クレームを提案する

 当然、クレームの範囲を拡大してはならず、また新規事項を追加してはならない。(316条(d)(3))。

(10)調停

 IPRは申立人と特許権者との共同要求により、終了する。なお、調停の場合、米国特許法第315条(e)に基づく禁反言は、生じない(317条)。

(11)IPRの決定

 PTABが書面によりクレームの特許性に関し決定をおこなう(318条(a))。なお、決定前に、提案補正クレームまたは新規クレームにより特許された物を米国内で使用、製造もしくは購入し、または米国内に輸入する者、或いは、実質的にその準備をしている者には、中用権が発生する(318(c))。

(12)不服申し立て

 PTABの決定に対してはCAFCに控訴することができる(319条)。

(13)施行時期

 1年後の2012年9月16日からである。IPRは施行日前、施行日、施行日後に発行された特許に適用される。

 

改正前

改正後

第311 条 当事者系再審査の請求

(a) 全般

第三者請求人は如何なるときにも,特許商標庁による,第301 条の規定に基づいて引用された先行技術を基にした特許についての当事者系再審査を請求することができる。

(b) 要件

当該請求は,次に掲げる条件を満たしていなければならない。

(1) 書面によるものとし,実質的利益当事者の身元を記載し,第41 条に基づいて特許商標庁長官が定めた当事者系再審査手数料の納付と共に行うこと,及び

(2) 引用されている先行技術を,再審査が請求されている全てのクレームの各々に対して適用することの適切性及びその態様を記述していること

(c) 写し

特許商標庁長官は,請求書の写しを特許に係る記録上の所有者に送付しなければならない。

第311条IPR当事者系レビュー

(a) 概説-本章の規定に従い、特許権者でない者はUSPTOに対し、IPRを申し立てることができる。(中略)

 

(b)範囲-IPRの申立人は、米国特許法第102条(新規性)または第103条(非自明性)に基づき、かつ、特許または刊行物からなる先行技術のみに基づき、ある特許における1または複数のクレームを特許不可として削除することを請求できる。

 

(c) 申立期限-IPRの申し立ては以下のいずれか遅い方の後に提出しなければならない。

 (1)特許の発行または再発行特許の発行の9ヶ月後、または、

 (2)PGRが第32章に基づき開始されている場合、当該PGRの終了した日

 

(第10回へ続く)

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