米国特許判例:審判請求時における従属クレームに対する議論(3) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許判例:審判請求時における従属クレームに対する議論(3)

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米国特許判例紹介:審判請求時における従属クレームに対する議論(第3回)

~形式的な議論では独立クレームと生死を共にする~

              In re Lovin, et al.

河野特許事務所 2011年11月9日 執筆者:弁理士  河野 英仁

 

4.CAFCの判断

規則41.37(c)(1)(vii)に規定する形式的議論では議論を放棄したものと見なされる

 CAFCは、審判請求書において従属クレームに対する十分な議論がなされていないとして、審判部の判断を維持する判決をなした。

 

 本事件の最大の争点は、審判請求書において出願人が、独立クレーム及び従属クレームの別々の特許性のために、規則41.37(c)(1)(vii)に則って適切に議論を行ったか否かにある。

 

 規則41.37(c)(1)(vii)は審判部に対する審判請求書内の議論に関する記載要件を規定している。なお、本規則は2004年に改正されている。

 

規則41.37(c)(1)(vii)[1]

議論. . . . 2以上のクレームに対する拒絶の各理由に対し、これらクレームは分けて、または、グループとして、議論することができる。

同一の拒絶理由を受けた複数のクレームが、グループとして審判請求人により議論される場合、審判部は、まとめて議論されるクレームのグループの中から一つのクレームを選択することができ、選択したクレームのみに基づく拒絶理由に関して、クレームのグループに対し審決を下すことができる。

このパラグラフの他の規定にかかわらず、審判請求人がまとめてグループ化したクレームを分けて個別に議論しなければ、審判部がグループ化されたクレームについて別々に特許性を考慮しなければならないと主張することはできない。

別々に議論されるクレームは、数字によりクレームを特定する小見出しの下におかれねばならない。

グループとして議論されるクレームは、数字によりクレームを特定する小見出しの下におかれねばならない。クレームに記載されていることを単に指摘するだけでは、クレームの別々の特許性に関する議論とは見なされない。

 

 過去の関連する事件として、出願人はBeaver事件[2]を引用した。Beaver事件において出願人は、従属クレームに関し以下の議論を行ったが、審判部により拒絶された。

 

 Beaver事件における議論:

「クレーム21はクレーム20の従属クレームである。そしてクレーム21はフィルムバックアッププレートの位置がカートリッジ前壁に対して調整可能であるということを要求している。

 これは、フィルムがバックアッププレートに対向する際に、レンズ台とフィルムとの間の固定された関係を達成するためである。

 先行技術は明らかに調整可能なバックアッププレートを開示していない。」

 

 審判部は、規則41.37(c)(1)(vii)の改正前規則1.192に基づき従属クレームに対する議論がなされていないとして拒絶を維持した。CAFCは十分な議論が従属クレームに対して行われているとして、審判部の判断を取り消す判決をなした。

 

 CAFCはBeaver事件においては従属クレームについて議論が合理的に議論されている上、改正前の規則であるため、本事件に対しBeaver事件は拘束力を有するものではないと、出願人の主張を退けた。

 

 従属クレームに対する別々の議論に関する規則は3度の改正を経ている。現行の規則41.37(c)(1)(vii)はBeaver事件時における改正前の規則1.192とは大きく異なっている。最初の規則は1988年に公布された。これはBeaver事件時におけるものである。

 

1989年第1回改正規則1.192(c)(5)[3]の規定は以下のとおり。

各拒絶理由に関し、拒絶クレームは、拒絶クレームが一緒に主張しなければ共に拒絶されることにはならないとする陳述を含んでおり、かつ、なぜ審判請求人が、拒絶クレームがそれぞれ特許性を有すると判断するかに関する理由を提出しない限り、一緒に主張しなければ共に拒絶されると推測される。

 

 本規則は1998年にさらに改正された。


[1] 規則41.37(c)(1)(vii)(下線は筆者において付した)

 Argument. . . . For each ground of rejection applying to two or more claims, the claims may be argued separately or as a group. When multiple claims subject to the same ground of rejection are argued as a group by appellant, the Board may select a single claim from the group of claims that are argued together to decide the appeal with respect to the group of claims as to the ground of rejection on the basis of the selected claim alone.

Notwithstanding any other provision of this paragraph, the failure of appellant to separately argue claims which appellant has grouped together shall constitute a waiver of any argument that the Board must consider the patentability of any grouped claim separately. Any claim argued separately should be placed under a subheading identifying the claim by number. Claims argued as a group should be placed under a subheading identifying the claims by number. A statement which merely points out what a claim recites will not be considered an argument for separate patentability of the claim.

 

[2] In re Beaver, 893 F.2d 329, 330 (Fed. Cir. 1989)

[3] 37 C.F.R. § 1.192(c)(5) (1989) :

For each ground of rejection . . ., it will be presumed that the rejected claims stand or fall to-gether unless a statement is included that the rejected claims do not stand or fall together, and . . . the appellant presents reasons as to why appellant considers the rejected claims to be separately patentable.

(第4回へ続く)

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