早わかり中国特許:第2回 中国での権利化のコツ(第1回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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早わかり中国特許:第2回 中国での権利化のコツ(第1回)

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早わかり中国特許

~中国特許の基礎と中国特許最新情報~

第2回 中国での権利化のコツ(第1回)

河野特許事務所 2011年8月19日 執筆者:弁理士 河野 英仁

1.中国特許制度の有効活用法

 「先日販売した当社製品と全く同じものが販売されています。それも格安で。」このような報告が中国現地の営業担当者から連絡が入り模造品に気付く。携帯電話機、ミシン、自動車部品、プリンタカートリッジ等ありとあらゆる製品が模造の対象となる。展示会への出展、製品販売の数ヶ月後には模造品が様々な企業から出てくる。このような早期模造行為に対して、権利化まで約2年間期間を要する発明特許権では対応しきれない

 

 第1回で述べたように、専利法において保護対象となる発明創造とは、「発明」、日本の実用新案に対応する「実用新型」、および、日本の意匠に対応する「外観設計」の3つである(専利法第2条)。実質審査を経て安定した権利であること、また、権利の存続期間[1]が最も長いことから、発明特許を中心に地道に権利化を進めていく必要があることは勿論である。しかしながら、上述した模造品に対しては、実用新型特許権及び外観設計特許権が極めて有効である。実用新型及び外観設計は無審査で登録されるため(専利法第40条)である。

 

2.実用新型特許・外観設計特許の有効性

 日本における実用新案制度の利用者数は著しく低下しており、2009年度では僅か約9,500件しか出願されていない。これは日本国実用新案法第29条の3の規定により実用新案権者が権利行使を躊躇せざるを得ないことに起因するものと考えられる。同法は以下のとおり規定している。

 

日本国実用新案法第29条の3第1項

 実用新案権者又は専用実施権者が侵害者等に対しその権利を行使し、又はその警告をした場合において、実用新案登録を無効にすべき旨の審決(第37条第1項第6号に掲げる理由によるものを除く。)が確定したときは、その者は、その権利の行使又はその警告により相手方に与えた損害を賠償する責めに任ずる。

 

 逆に、中国専利法にはこのような規定が存在せず、実用新型特許に基づく特許権侵害訴訟も非常に多く、模造品対策として極めて有効に機能している。

 日本の意匠登録出願数も年々減少しており2009年度では3万件にまで低下[2]した。逆に中国では膨大な外観設計登録出願が申請されており、無審査で続々と登録されている。そして、外観設計に基づく特許権侵害訴訟も非常に多く、デッドコピー品に対する強力な対抗手段となっている。

 

 日本的感覚で実務をしていると、実用新案および意匠に目が向かず、中国で有効な権利を取り損ねることになる。中国で製造・販売する製品にかかる特許については、中国への出願前に、発明内容、模造品被害の実体、コスト、製品サイクルを総合的に勘案し、発明特許・実用新型特許・外観設計特許の3本の矢を使い分ける戦略を練る必要がある。単に無審査・コスト面で有利だからという理由で実用新型特許出願をしてはいけない。中国特許制度を理解した上で実用新型特許出願を戦略的に行わなければならない。具体的な注意点は回を改めて説明する。

 

中国特許のポイント

発明特許だけでなく実用新型特許、外観設計特許をも考慮する

実用新型特許・外観設計特許は無審査、かつ権利行使もし易い

 



[1] 専利法第42条

 発明特許権の存続期間は20年、実用新型特許権及び外観設計特許権の存続期間は10年とし、いずれも出願日から起算する。

[2] 出典:日本国特許庁

(第2回へ続く)

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