北京市高級人民法院特許権侵害判定指南の解説(第4回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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北京市高級人民法院特許権侵害判定指南の解説(第4回)

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北京市高級人民法院特許権侵害判定指南の解説(第4回)

 

2013年12月27日

執筆者 河野特許事務所

弁理士 河野英仁

 

7.共同権利侵害

 中国においては間接侵害に関する規定は専利法、実施細則及び司法解釈に設けられていないが、実務上は間接侵害を認定する裁判例は多い。指南第105条~第110条によれば、他人に侵害を教唆または専用部品を提供した者等と、直接侵害行為を行った者とが共同で権利侵害の責を負う旨規定されている。

 

 すなわち、直接侵害が存在することを前提として、侵害を教唆または専用部品を提供する行為を間接侵害としている。専利法第11条は「生産経営の目的で」(日本の「業として」に相当)を要件としている[1]ことから、特許の実施行為を行う者がエンドユーザである場合は、直接侵害が成立しないため、結果として共同侵害行為は成立しないこととなる点に注意すべきである。

 

 

105.2人以上が専利法第十一条に定める行為を共同で実施したか、又は2人以上が相互に分業・協力して、専利法第十一条に定める行為を共同で実施した場合、共同権利侵害を構成する。

106.実施専利法第十一条に定める行為を他人に実施するよう教唆、幇助した場合、実施者と共に共同権利侵害者となる。

107.特許権を侵害した物品を部品・組立材料とし、別の物品を製造するとともに販売した場合で、権利侵害で訴えられた者に分業・協力が存在する場合、共同権利侵害を構成する。

108.他人の物品特許の実施に専用に用いる材料、専用設備若しくは部品・組立材料を提供、販売、輸入した場合、又は他人の方法特許の実施に専門に用いる材料、器具·機械の部品若しくは専用設備を提供、販売、輸入した場合、上述の行為者は実施者と共に共同権利侵害を構成する。

109.他人に実施専利法第十一条に定める行為を実施するための場所、倉庫、輸送などの便利な条件を提供した場合、実施者と共に共同権利侵害を構成する。

110.技術譲渡契約の譲受人が契約の取り決めに基づいて技術を譲り受けるとともにそれを実施し、他人の特許権を侵害した場合、譲受人が権利侵害責任を負う。

 

8.消尽論

 中国における消尽論については、専利法第69条(1)に以下のとおり規定されている。

 

第69条

 次の各号の一つに該当するときは、特許権の侵害とみなさない。

(1)特許権者又はその許可を得た機関又は組織又は個人が、特許製品又は特許方法により直接得た製品を販売した後に、当該製品の使用、販売の申し出、販売、輸入を行う場合。

 

 すなわち、特許権者から適法に購入した特許製品については、購入した時点で特許権が消尽し、購入者はその後自由に特許製品を使用及び販売等を行うことができる。

 

 指南第119条では、国際的消尽についても規定している。中国国外で特許権者から適法に購入した特許製品を、中国へ並行輸入した場合でも、特許権は消尽し中国で当該特許製品を輸入・販売等することは特許権侵害とならない。

 

 また特許の専用部品を特許権者から適法に購入し、当該専用部品を用いて特許製品を込み立てて製造した特許製品を使用及び販売等する行為も特許権侵害とならない(指南第119条(3))。同様に方法特許の使用に必要とされる設備を特許権者から適法に購入した場合、当該設備を使用して方法特許を実施することも特許権侵害とならない(指南第119条(4))。

 

119.特許物品又は特許方法に基づいて直接獲得した物品について、特許権者又はその許可を得た組織、個人が販売した後に、該物品の使用、販売の申し出、販売、輸入を行った場合は、特許権侵害とはみなさない。これには以下が含まれる。

(1)特許権者又はそれに許可された者が中国の境界内でその特許物品又は特許方法に基づいて直接獲得した物品を販売した後に、購入者が中国の境界内で該物品の使用、販売の申し出、販売を行った場合。

(2)特許権者又はそれに許可された者が中国の境外でその特許物品又は特許方法に基づいて直接獲得した物品を販売した後に、購入者が該物品を中国の境内に輸入し、その後中国の境内で該物品の使用、販売の申し出、販売を行った場合。

(3)特許権者又はそれに許可された者がその特許物品の専用部品を販売した後に、該部品若しくはそれを組み立てて製造した特許物品の使用、販売の申し出、販売を行った場合。

(4)方法特許の特許権者又はそれに許可された者がその特許方法の実施に専門に用いる設備を販売した後、該設備を使用して該方法特許を実施した場合。

 

以上

 



[1] 専利法第11条

第11条

 発明特許権及び実用新型特許権が付与された後、本法に別段に定めがある場合を除き、いかなる機関又は組織又は個人も特許権者の許諾を得ずに、その特許を実施してはならない。すなわち、生産経営の目的とするその特許製品を製造、使用、販売の申し出、販売、輸入、又はその特許方法を使用、その特許方法により直接得られた製品の使用、販売の申し出、販売、輸入はしてはならない。

 




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