21世紀型改修工事の方向性 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

奥村 召司
株式会社空間設計社 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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21世紀型改修工事の方向性

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リフォーム&リノベーション考
スクラップ&ビルドの時代は終わりました。既築建物に手を加え使い続けることが明らかに主流となって来ています。そのために重要なのは、1)その建物の用途が現在も社会的に必要とされていること 2)その建物の構造が現在の基準を満たしている(或いはそれに近いものである)こと 3)その建物の設備が将来に向け省エネ化を図っていること
と言うことでしょう。1)は小さな賃貸住戸をまとめてより大きな住戸にしたり、需要の無くなったオフィスを他の用途(例えばSOHO オフィスとか)にコンバージョンすることなどを示します。外観や内観のお化粧直しも広い意味でこの目的によるものでしょう。2)は構造診断の上、場合によって補強をすること。これは分かりやすいでしょう。
ここで注目したいのは最後の3)の観点です。
京都議定書によりCO2削減が叫ばれ、地球温暖化が日ごとリアルさを増し、最近の化石燃料の高騰を目の当たりにするまでもなく、設備の省エネシフトは必須です。設備機器の耐用年数は建物本体より当然短く、10年〜20年で何らかのリフレッシュ工事が必要となります。ただ実際には設備面で支障が発生してから至急工事として対応を仰ぐことが多く、そのため元と同じ設備システムに復旧するのが精一杯と言う例が多いのも事実。つまりじっくり考えて手を打つ時間的余裕が無い訳です。本来ならばエネルギー源の見直し(例えば電気からガスとか・・)や、省エネ化に向けた設備システムの切り替えを事前に(耐用年数前に)計画立案した上で、壊れる前に改修に踏み切ることがいかに重要かと言うことです。それにより一時的に設備投資が必要となりますが、ランニングコストが軽減されることにより資金回収が可能であり、それ以上に地球に優しい(つまり未来に向けて持続可能な)建物となる意味が大きいと思います。