耐震改修に関する私論 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

奥村 召司
株式会社空間設計社 
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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耐震改修に関する私論

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リフォーム&リノベーション考
これは私論です。多少語弊があるかもしれませんが、なるべく分かりやすくお話ししたいと思います。近年、住宅(殆どは築30年以上の木造)の耐震改修に関するご相談が増えています。地震被害をテレビで見たりして不安に思った方からの相談もあれば、耐震改修業者さんからの強いセールスを受けてどうしたものだろうかと言う相談も多くあります。いろいろな金物補強工法セールスがあるようですが、どちらにせよ第三者的立場の建築専門家のアドバイスを受けて対応することが賢明だと思います。と言うのは業者側が既存建物の部分補強に過大な効果を主張しがちであること、併せて他の改修工事を勧めることで最終的に過剰な工事金額になりがちなことなどがその理由です。最近多くの自治体で耐震診断や補強工事に助成制度を持っていたりもしますが、それにも少し問題があると考えています。精密な耐震診断を依頼するととても厚い報告書が出てきて、その中に記述されている評点(姉歯事件で問題になった、現行構造基準を評点=1.0とした耐震強度係数)に振り回される傾向があるのも事実(人情)です。工事監理をちゃんと行った場合の新築建物ならともかく、古い建物内外を外から見ただけなのに(つまり壊して内部を確認することのない非破壊検査なのに)、コンピューターの数値だけがひとり歩きし細かく打ち出されることの意味はどの程度なのでしょうか。既存建物評価のインプットデータが少なければその結果もそれだけのものだと言うことが分かりにくくなっていて、素人は評点の細かい数値に踊らされてしまいがちです。さらには自治体が耐震診断を委託している団体の閉鎖性(施工者との関係も含めて)も気になるところです。理想的には信頼がおける建築専門家がいるならばその方に相談し、生活の質を高めつつ耐震面も強化する「総合的な観点からの」改修メニューを模索すべきでは・・・私はそう考えるのですが。