- 福田 和博
- 福田和博税理士事務所
- 税理士
対象:税金
確定申告時期が近づいてくると、必ずといっていいほど聞かれる質問が、新築の家の名義についての贈与の不安に関するものです。
こういう形で進行しているものと推察します。
(前提)ご主人:サラリーマン、奥様:専業主婦とします。
一、念願のマイホームを長期間のローンを組んで手に入れることとなった。
二、契約時に不動産会社から「名義はどうされますか」と聞かれた。
三、ご主人は夫婦で築き上げるものだから、当然夫婦の名義と考え夫婦名義とした。
四、ローンは男が引き受けるべきだからといって、ご主人が全部引き受けた。
厳しいかもしれませんが、税法はご主人から奥様へ贈与が発生しているとみます。
というのは奥様は何ら金銭的な負担をすることなく、マイホームの名義の半分を手に入れているからです。
対策としてはローンの負担者をマイホームの持ち分に応じて負担割合を定めることが考えられます。奥様が専業主婦の場合、ローンの返済が進むにつれて奥様の通帳残高が減少します。不足分はご主人が奥様に贈与するという形で対応します。この場合、年間の贈与額が110万円を超えると贈与税が課税されます。一方、ご主人の住宅借入金控除は夫婦名義にすると少なくなります。
「生活費をうかせてローン返済としたらどうか」といわれる人がいますが、生活費はあくまで生活のために使うお金です。ローン返済に回った場合は贈与税が課税されない生活費とは認められません。
夫婦仲の良いご家庭で起こっていることだと思います。また心情的にはとても理解できることなのですが、税務では以上の取り扱いとなっています。
税法には、このような状況を思ってか、居住用不動産を配偶者から取得した場合の「贈与税の配偶者控除」という制度を用意しています。
婚姻期間20年以上が要件です。申告を要件として最高2,000万円が不動産の取得価格から控除され控除後の金額で贈与税が計算されます。つまり2,000万円まで不動産を贈与できるという制度です。
税法は夫婦で築き上げたというからには、最低20年間は連れ添わないといけないと言っているのですね。
もっとも最近では女性の方がローンを引き受けているのかもしれませんが。
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