フランスのエスカルゴと日本のエスカルゴ - 西洋料理 - 専門家プロファイル

塚本 有紀
フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
大阪府
料理講師

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対象:料理・クッキング

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フランスのエスカルゴと日本のエスカルゴ

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 料理の授業で、ブルゴーニュ風エスカルゴEscargot a la bourguignonneを作りました。エスカルゴの殻に、身とエスカルゴバターを詰めて、オーブンでぐつぐつ焼いた料理です。伝統的で、非常にクラシカルな前菜です。合わせるのは、やっぱりブルゴーニュの辛口白ワインでしょうか。

フランスでいちばん上等とされるのはブルゴーニュ種ですが、これはブルゴーニュのぶどうの葉を食べて育ったものなのだとか。柔らかいのが身上で、ちょっと泥臭い味がすると私は思います(なぜ泥臭いのかと言えば、土の中で冬眠するからなのかも)。養殖はとても難しいため、採取されます。それにもいろいろな規制があるのは、数がとても少ないからで、トルコやアルジェリアなどからたくさんの輸入に頼っているようです。ただし外国産は固いといいます。

缶詰や冷凍、それからクールブイヨンで茹でられたブルゴーニュ種が、日本でも手に入れられます。これをさっと白ワインで香りをつけ、殻に詰めます。エスカルゴバターは大量のにんにくとパセリ、エシャロットやレモン汁、塩胡椒を混ぜたもので、殻になるべくたくさんぎゅうぎゅうに詰めるのが、おいしく作るコツ(相当に大量のバターを使いますが、あまりにおいしいので、食べているときにはとりあえず忘れたことにします)。フランスではここまで作ってアルミの容器に並べられた状態のものが、スーパーや冷凍食品店でよく売られています。

エスカルゴティエールという穴のへこんだ陶器に殻を並べ、オーヴンに入れて、待つこと7〜8分。バターがぐつぐつと沸いてきたらできあがりです。

専用のエスカルゴばさみを左手に、二股の専用フォークを右手に持って、熱々をいただきます。残ったバターはパンにつけて、全部いただきます。パンが知らず知らずのうちに減ってしまうおいしさなのです。

ところで驚くことに、日本でも三重県松坂市でエスカルゴを育てています。その名はエスカルゴ牧場!

国産エスカルゴには泥臭いところがなく(養殖のため、冬眠させないと聞きました)、若干のぬめりがあり、柔らかく、とてもおいしいのです。ただしネックはそのビジュアル。ほんとうに、「かたつむり」そのものなのです。角も、もちろん確認できます。フランス産の缶詰のように黒っぽくて何だかよくわからない・・のなら、調理もへっちゃらですが、国産は違います。

「ぎゃー」

毎回宅配便で届いた箱を開けるたびに、私でさえ叫んでしまいます。授業に出すときはもっと大変。生徒さんを散々脅かしてから箱をあけます。そして小さいシューを作ってソースとともにエスカルゴを詰めたり、スープの中に入れてパイ包み焼きにしたりするのですが、

「ぱくっと一口で食べてくださいね」

と先にお願いします。なぜなら途中でかみ切ろうなどとすると、角と鉢合わせすることになるからです。

それでも、国産エスカルゴは美味です。日本の食糧危機を救うかも、などという噂も聞きました。機会があったらぜひお試しを。レストランで食べられることがありますが、現地でも供されているようです。そしていつか見学に行ってみたい、などと思っています。

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