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米国仮出願の拡大先願の地位 (第1回)
~Secret Prior Art~
In re Giacomini, et al.,
河野特許事務所 2010年10月8日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.概 要
米国特許法第102条(e)*1は、日本の拡大先願の地位(日本国特許法第29条の2)に類する規定であり、以下のとおり規定している。
次の各項の1に該当するときを除き,人は特許を受ける権利を有するものとする。
(e) その発明が,次に掲げるものに記載されていた場合
(2) 当該特許出願人による発明の前に合衆国において他人によって提出された特許出願に対して付与された特許。
すなわち、出願時(発明時)に公開されていない先願でも、後に公開または特許されることを条件に、後願排除効を有することとなる。
本事件では審査対象となる特許出願の出願日が、先願の仮出願日と本出願日(非仮出願)との間に属しており、後願排除効を有する基準日が仮出願日か、本出願日か否かが争点となった。CAFCは後願排除効を有する基準日は仮出願日であると判示した。
2.背 景
(1)特許出願の内容
Giacomini氏ら(以下、原告という)は、「経済的なキャッシュ保存方法及び装置」と称する発明を2000年11月29日に出願した。出願番号は、No. 09/725,737(以下、737出願という)である。737出願はキャッシュと呼ばれる高速でアクセス可能なメモリに、選択的に電子データを記憶する技術をクレームしている。
情報源から要求されたデータを読み出す場合、次回データを高速に読み出すことができるようデータをキャッシュに記憶する。しかしながらキャッシュの記憶容量が限られていることから、本技術は、一定数の要求を受信した場合にのみ、キャッシュにデータを保存する。737出願のクレーム1*2は以下のとおりである。
1. 方法であり以下を含む:
情報資源に関し少なくともiの要求を受信した場合に限り前記情報資源をキャッシュに保存し、前記iは整数であり少なくとも時折1より大きい。
(第2回へ続く)
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