不正行為に基づく抗弁の成立要件(第6回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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不正行為に基づく抗弁の成立要件(第6回)

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不正行為に基づく抗弁の成立要件

~自社関連出願の「重要性」と「欺く意図」~(第6回)

Shanghai Meihao Electric Inc.,
Plaintiff Appellee,
v.
Leviton Manufacturing Company, Inc., et al.,
Defendant-Appellant.

河野特許事務所 2010年9月28日 執筆者:弁理士  河野 英仁

5.結論
 CAFCは、Germain出願及び訴訟情報の開示ミスは「重要」であるとした点に関しては、地裁の判断を支持したが、「欺く意図」を推論し、不正行為を認めた地裁の判決を無効とした。


6.コメント
 近年、情報開示義務違反に基づく不正行為の抗弁が数多くの事件でなされており、PTOに対する関連公報の提出には慎重を期す必要がある。しかしながら、重要な情報をPTOに対し開示していなかったとしても、不正行為に直接結びつくわけではない。被告側は、「重要性」の立証に加え、特許権者に「欺く意図」があったことを立証する必要がある。

 後者の立証は困難であり、不正行為が認められない場合が多い。特にCAFCは、「譲渡人同一の出願または関連する訴訟の開示ミス」に関しては、過去に不正行為の成立を認めていない。この点に関し、本事件は特別なケースであり、不正行為を認めるべきとProst判事が反対意見を述べている。

 米国特許出願実務では、ある公報または論文等が発見された場合に、本当に「重要」な情報か否かを判断しかねる場合がある。その場合でも、不正行為による権利行使不能のリスクを低減すべく、「念のためPTOに提出しておく」ことが多く、出願コストの増加を招く一因となっている。

 現在、Therasense(現 Abbott Diabetes Care)事件*15において、大法廷*16による審理が行われている。Therasense事件では、対応欧州出願において主張した事項をPTOに提示していなかったことから、不正行為が認定された。

 不正行為が争点となる事件が急増していることに鑑み、何が「重要」であり、どのような場合に「欺く意図」があったか明確化する必要性が高まってきた。大法廷は不正行為を認定したTherasense事件判決を取り消し、ヒアリングを行う決定をなした。大法廷で争点となる事項は以下のとおりである。

1.不正行為における、「重要性」と「欺く意図」のバランス枠組みは修正されるべきか、または、置き換えられるべきか?

2.もしそうとすれば、どのように?特に、基準は「フロード(詐欺)」または「汚れた手(unclean hand)」に直接結びつけるべきか? そうとすれば、何が「フロード(詐欺)」または「汚れた手(unclean hand)」に対する適切な基準か?

3.何が「重要性」に関する適切な基準か?「重要性」を定義する上でどのような役割を、USPTO規則が演じるべきか?
 「重要性」を判断するために、申し立てられた違法行為以外のものが必要ならば、一または複数のクレームは特許されないのか?

4.どのような状況下で「重要性」から「意図」を推論するのが適当か?

5.バランス質疑(「重要性」と「意図」のバランス)は放棄されるべきか?

6.他の連邦機関における状況、または、コモンローにおける、「重要性」と「意図」の基準が、特許における状況に適用される基準に影響を与えるか否か?



判決 2010年5月28日

                                (第7回へ続く)

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