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中国における均等論の解釈
~均等論と従来技術の記載~ (第1回)
上海麗雨光電有限公司
上訴人-原審被告
v.
鶴山麗得電子実業有限公司
被上訴人-原審原告
河野特許事務所 2010年7月30日 執筆者:弁理士 河野 英仁
1.概要
特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づき判断される(専利法第59条第1項)。具体的には、イ号製品が、請求項に係る各構成要件の文言を充足するか否かにより判断する。
しかしながら、文言解釈を徹底させれば僅かな文言の相違により、イ号製品が特許発明の技術的範囲から外れてしまうこととなる。出願当初からあらゆる侵害の形態を想定して請求項を策定することは困難であることから、特許権の保護を強化すべく、請求項に記載された事項と均等な事項についても技術的範囲に属するとする均等論が存在する。
本事件では、ソフトチューブ灯内のLED及び電流制限抵抗の設置方向が縦横相違していたところ、人民法院は均等であるとして特許権侵害を認めた。
2.背景
(1)特許の内容
鶴山麗得電子実業有限公司(以下、原告という)は、「ソフトチューブ灯の改良構造」に関する特許第ZL200410032066.5号(以下、066号特許という)を所有している。原告は2004年3月31日、中国知識産権局に発明特許出願を行い、2007年1月17日に特許を成立させた。参考図1はソフトチューブ灯の使用状態を示す説明図である。
参考図1 ソフトチューブ灯の使用状態を示す説明図
内部にLEDを搭載するソフトチューブは自由に折り曲げて壁またはガラスに取り付けることができ、ネオンサインとして使用することができる。参考図2は従来技術を示す説明図である。
参考図2 従来技術を示す説明図
160a~160cはLED、170a~170bは電流制限抵抗であり、透明プラスチック製の内芯110に設けられた横孔150a~150eに挿入される。内芯110の手前側には導線130、奥側には導線120がそれぞれ貫通しており、LED160a~160cに電力を供給する。
(第2回へ続く)
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