- 森岡 篤
- 有限会社パルティータ 代表
- 建築家
対象:住宅設計・構造
日本家屋に学ぶ−2
家は、長い年月のなかで、気候風土や生活環境に適合するかどうかで、淘汰されます。
ある地域に、長く生き残った家のスタイルは、必然性があるものです。
戦後、多くの日本人は、洋式の家にあこがれました。
合理的な机・イスによう生活、目的別の部屋:寝る部屋と食事する部屋を分ける寝食分離は、戦後生活の向上感覚にマッチしました。
各部屋を壁で仕切ることは、時代の要求であるプライバシー重視にも適合しました。
しかし、洋式の家が、自分たちのライフスタイルに合うかどうかまで、考えたかどうか疑問です。
「核家族化」と言われ長い年月な流れています。
「核家族化」とは、以前は親世帯と子世帯が同居していたのが、別居することが増えた、ということです。
しかし、ヨーロッパのように高齢者を国家が面倒見てくれる社会構造ではありません。
転勤などで一時的には親と離れていても、いずれ兄弟のだれかが、親と同居し、面倒を見る。少子化で、単位は小さくなっていても、基本構造は何も変わっていないのです。
戦後復興から、途中オイルショックはあったものの、90年代にバブルがはじけるまで、好景気が続き、その間家を建て替え続けました。
好景気だから建て替えるものと思われていました。
日本人の生活・環境の変化は欧米に比べ大きいこと、日本家屋はその生活形態にマッチしていたということ、あこがれの洋式の家は、壁で小割にされ、ガチガチに固定的で、生活の変化に適応できず、日本の生活形態に合わず、そのため住めなくなり建て替えられていることに、気が付きませんでした。