英語習得と修得の違い(その二) - 外国文化 - 専門家プロファイル

今林 浩一郎
今林国際法務行政書士事務所 代表者
東京都
行政書士

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英語習得と修得の違い(その二)

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     ところで、英語習得(LEARNING)と英語修得(ACQUISITION)は明確に区別する必要があります。すなわち、英単語や英文法の知識の習得(LEARNING)と英語修得(ACQUISITION)は同じではないということです。例えば、英語を学習して英単語や英文法の知識を完全に記憶すれば試験で満点を取ることは可能ですが、試験での満点は必ずしも英語修得(ACQUISITION)の達成を意味しません。確かに英語修得(ACQUISITION)の達成に至るプロセスで試験の満点を取るための学習は、英語修得(ACQUISITION)を達成するための1つの有効な手段になり得るかもしれません。しかしながら、英単語や英文法の知識の集積が自動的に英語修得(ACQUISITION)を達成するのではないということです。同様に、大学受験予備校で英語を習得して模試で高得点を取り一流大学に合格しても、それは直ちに英語を修得したことを意味しません。英語修得のためには、現実的な英語環境(REAL CONTEXT)で英語を使うことを習慣化(HABIT FORMATION)し、文化変容(ACCULTURATION)を経験するというプロセスを経なければ、英語修得(ACQUISITION)の達成には至りません。

     とはいえ、残念なことに、日本の中学高校における従来の英語教育は、大学入試合格という目的のために英語教育が手段化しており、本来の目的が手段化、手段が目的化するという逆転現象が生じています。同様に、英会話スクールの英語教育も、最近では以前ほどではないにせよ、金髪美女を看板にして客寄せを狙い利益追求に偏重する英会話スクールが相当数存在しています。確かに英語修得にネイティブスピーカーが関与することの有益性を否定するものではありませんが、これらの英会話スクールは英語力向上の場というよりはむしろ社交場と化しています。ここでも英語修得という本来の目的が手段化、利益追求という手段が目的化して逆転現象が生じています。また、これらの関係者の中には、文化変容(ACCULTURATION)による英語文化修得と英語修得(ACQUISITION)を切り離して考え、「日本人は日本人であり、英語はコミュニケーション手段にすぎないから英語文化の修得は必ずしも必要ない」と考える人々も少なくありません。これは日本社会の閉鎖的な一面に起因するのかもしれませんが、正しい考え方とは思えません。

     では、英語を修得(ACQUISITION)した人とはどのような人でしょうか。一言でいえば、英語を修得(ACQUISITION)した人とは、日本語を介さず、英語を聞き読み、英語で考え、英語で話し書くことが可能な人です。これは俗に英語脳の創造とも言われます。英語修得のために子供たちが早期に英語学習を開始することは望ましいことです。この点、スコーヴェル(SCOVEL)という言語学者は、「思春期を過ぎては決してネイティブ並みの英語修得は可能ではない」と言っており、英語修得のためには子供たちは早期に英語を学習し始める必要があることを示唆しています。

     もっとも、早ければ早いほど良いということでもなく、日本人としてのアイデンティティが確立する前のあまり早い時期に英語学習に偏重すると、日本語人格も英語人格も中途半端になり、日本語力も英語力も不十分のままという結果になりかねません(これは逆も真なりです)。すると、日本社会でも英語圏社会でも生活できなくなる恐れがあります。

     この問題はダブルリミテッド(DOUBLE LIMITED)と呼ばれており、日本に在住する日系人の子供に同様の現象が観察されます。実際、スイスのようにドイツ語、イタリア語、フランス語及びロマンシュ語等4ヶ国語が話される国で複数言語を話す人でも、1つの主言語人格を有すると考えられています。そこで、まずは主言語人格を1つ確定することは重要です。逆に高齢化すると、言語修得能力が低下し、外国語修得が困難になります。これは言語学上化石化(FOSSILIZATION)と呼ばれています。ですから、英語修得のためには、遅すぎず早すぎず適当な時期があるということになります。

     また、幼児の言語修得のメカニズムを研究してみると、両親(特に母親)の母国語を耳から聴いて言語を修得していると考えられます(IMPERATIVE APPROACH)。確かに幼児に備わる言語修得能力は特殊なものであり、年を取るにつれて衰退していきます。しかしながら、耳から聴いて言語を修得する方法は大人にも一定の有効性があると考えます。この意味でネイティブスピーカーの自然な会話を聴くことは英語上達のための有効な手段です。英作文、英文法、聴解及び読解を別々に考え、各能力の向上のために各個別の手法が必要であると考える方々がいます。しかしながら、4つの基本的能力は相互に有機的に関連しており、4つの基本的能力を関連させて向上させることが合理的と言えます。そして、前述の通り、4つの英語能力を統合して効率的に英語を修得する手段として耳に依存することには重要な意味があります。

 

(参考文献)http://blogs.yahoo.co.jp/marvellous157/2022595.html

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