英語習得と修得の違い(その一) - 外国文化 - 専門家プロファイル

今林 浩一郎
今林国際法務行政書士事務所 代表者
東京都
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閲覧数順 2016年12月03日更新

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英語習得と修得の違い(その一)

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    私たちが英語学習を始めた端緒は何だったでしょうか。恐らくは中学校入学後学校のカリキュラムで英語が必須だったということが一番多い端緒ではないでしょうか。もっとも、最近は、小学校から英語の授業を導入している学校も相当数あり、英語学習開始の端緒も多様かもしれません。そして、英語力を高めた動機は、主に大学入学試験を有利に展開するために英語学習に努力したという方々が多数を占めると思います。とはいえ、大学を卒業しても、横文字は苦手だとおっしゃる方々も多いですし、英語コミュニケーション能力を十分に修得している方々はそれほど多いとは思われません。これはなぜでしょうか。これには幾つかの理由があります。

        まず、日本語と英語が言語の系統を異にしており、言語間にかなりの距離がある点が挙げられます。英語は、インド・ヨーロッパ語族のゲルマン語派に属する言語です。ゲルマン語派には、ドイツ語、オランダ語及びデンマーク語等も属します。同じゲルマン語派に属する言語同士が相互に言語を修得し易いのは自然なことです。また、同じゲルマン語派に属していなくても、同じインド・ヨーロッパ語族に属するスラブ語派(ロシア語、ポーランド語、チェコ語等)、イタリック語派(イタリア語、スペイン語、フランス語、ポルトガル語等)及びギリシャ語等のヨーロッパ言語は、言語系統上の距離が近く、比較的相互に修得し易いと思われます。一方、日本語は、過去にはウラル・アルタイ語族に含める説が有力な時代もありましたが、現在は、孤立言語(現存する他言語と明確な関係性を有しない自然言語)と考えられています。ですから、インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派に属する英語と独立言語の日本語との言語系統上の距離は相当遠いと思われます。

        もっとも、言語系統上の距離が疎遠であるとしても、言語交流や文化交流が盛んであれば、相互の言語修得もコミュニケーションも比較的に容易であるかもしれません。例えば、フランスはドーバー海峡を挟んだ隣国であり、百年戦争(1337-1453)の時期にイギリスに長期間占領された経緯もあり、フランス語がイタリック語派、英語がゲルマン語派に属するとしてもフランス語と英語には類似点がかなり多いのです。しかしながら、日本は島国でもあり、英語圏との言語交流や文化交流はほとんど19世紀後半まではありませんでした。また、現在でも英語圏は大洋の彼方です。

        ところで、言語学の理論では、言語修得と文化修得は密接に関連しており、言語を修得するためには単語や文法等の知識を習得する(LEARNING)だけではなく、文化変容(ACCULTURATION)を経験して言語を修得(ACQUISITION)することが不可欠です。すなわち、文化修得を避けては言語修得を達成できません。したがって、ある言語間で言語系統上の距離が遠いということは、それらの言語間に大きな文化的相違があり、言語間の相互修得も比較的に困難であるということを意味します。ですから、インド・ヨーロッパ語族ゲルマン語派に属する英語と独立言語の日本語間には大きな文化的相違があり、言語間の相互修得も比較的に困難になります。

        次に、各言語が前提とする発想には、独特の発想法があります。日本語は演繹法(DEDUCTIVE APPROACH)的発想に基づくのに対し、英語は帰納法(INDUCTIVE APPROACH)的発想に基づくと考えられます。ここで演繹法(DEDUCTIVE APPROACH)とは、一般的な前提から個別的な結論を導く推論方法です。一方、帰納法(INDUCTIVE APPROACH)とは、個別的な事例から一般的な法則を導き出す推論方法です。

        これらの現実社会における実際の発現を見ると、法律分野や教育分野で効果の違いが顕著に現れています。例えば、日本国憲法は成文憲法であり、憲法を上位規範として詳細な下位規範が作られます。一方、英国憲法は不文憲法であり、具体的な事例に対する裁判所の判断が蓄積されて一般法則化されています。また、日本の大学における従来の法律教育は、基本書の精読から始めて基礎知識を固め、それから個別的な事例に基礎知識を当てはめるという手法が主流でした。一方、英米のロースクールにおける従来の法律教育は、個別具体的な事例研究(ケーススタディ)から始め、多数の個別具体的な事例から一般的な規則や法則を導き出します。

        さらに、日本の中学高校における従来の英語教育は、英単語や構文の知識を蓄積し、それらを個別具体的な英文の文脈に当てはめていき、英文を理解するという演繹法(DEDUCTIVE APPROACH)的手法が主流でした。一方、英語圏のESL(第二言語としての英語教育)では、英語の個別具体的な文脈で英語の意味を理解し、経験的に英語の一般法則を修得する帰納法(INDUCTIVE APPROACH)的手法を主流とします(もっとも、日本の中学高校における現在の英語教育はかなり帰納法(INDUCTIVE APPROACH)化しています)。ですから、仮に帰納法(INDUCTIVE APPROACH)的発想を基礎とする英語を演繹法(DEDUCTIVE APPROACH)的手法で修得するとすれば、修得効率が悪いのは当然でしょう。

英語習得と修得の違い(その二)へ(http://profile.ne.jp/w/c-38111

(参考文献)http://blogs.yahoo.co.jp/marvellous157/2022595.html

 

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