- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
国際線の機内放送。 英語と日本語でのアナウンの違いが双方の文化、いや人間性かな、を現していて実に面白いです。
単なる「ご搭乗ありがとうございます。」とかの挨拶ではなく、指示を出したり、状況説明をしたりするときのアナウンスの長さが恐ろしく違います。 英語は短く、日本語は長々。 そこまで言うかというほど、すべてを説明する日本語アナウンスが奇妙に聞こえます。
成田からバンクーバーに向かうエアカナダ。 ハプニングが多いし、それについてアナウンスもそれにつれて多かったです。
乗客が全部乗り込み準備の整ったAC004便。 なかなかゲートから離れない。
機長アナウンス(もちろん英語): 「こっちはすべて用意が整っていますが、現在ゲートを離れる許可待ちです。 もうすぐ出発出来ると思いますが(hopeという英語を使いました。)。
日本語アナウンス(日本人アテンダント):「当エアカナダ004便はバンクーバーに向かう準備が整いまして出発を待っております。 皆様にはお急ぎのところご迷惑をおかけいたしますが、いましばらくお待ちください。 出発の許可が下り次第バンクーバーに向けて離陸準備に入ります。」
離陸後、気流が悪く1時間半ほどシートベルトサインが消えません。
機内アナウンス(英語):「気流による揺れはしばらく続きます。 シートベルトを締めたままでいてください。」
(日本語):「ただいまシートベルトサインが点灯中です。 気流のわるいところを通過中です。 みなさまには恐れ入りますが、シートベルトを緩みのないようおしめになり、お手洗いのご使用はお控え下さい。」
えらい日本語長いなぁ。。
シートベルトサイン点灯中に歩いたら危ないことくらいわかってるのに、なぜわざわざ「トイレに行くな」などとわかりきったことを言うのかなと、不思議なくらい長いゆっくりしたアナウンス。
やっとサインが消えたと思ったらまた揺れ始めました。
英語アナウンス: Fasten your seatbelt. (これだけ。)
日本語アナウンス: ただいま機長の指示により再びシートベルトサインが点灯されました。 みなさまお席におつきになりシートベルトをおしめ下さい。 危険ですので、お手洗いにはいかれないようお願い申し上げます。」
危険、つまりシートベルトをはずしてトイレに歩いていくなど言語道断ということまで言わないといけないのでしょうか。
わからずにフラフラお手洗いに行く日本人乗客が多いということかな? それならかなり恥ずかしいですね。
やっと到着。 ゲートの手前まで来たところで、いったん停止。
機長(英語): ゲートの手前まで来ていますが、何か部品の問題で待たされています。
アテンダントの日本語: 皆様にはお急ぎのところ恐れ入れますが、当機はゲートの手前でいったん停止しております。 シートベルトはお締めのままお待ちください。 危険ですので、お席をお立ちになりお荷物などは出されませんようお願いいたします。 そのままもうしばらくお待ちください。」
機長の短いアナウンスだけで、あとのことは簡単にわかるはずなのに~ということを、長々とアナウンスする日本語。
幼稚園児への指示みたいです。
コラム「外国人の目―不可解な日本人」でも書いているように、日本人は1から10まですべて説明しないとわからないのか、または説明しないと文句ごうごうなのか非常に興味を持ちました。
(しゃべる機械が全部指示するとか、天気予報で明日着るものを教えるとか。)
Cause (原因)を聞いたら、Effect(その影響また結果)についてあらゆる可能性を自分で考えるという英語の考え方とは大きく異なる日本語の説明です。
英語圏では、そこまで全部説明したらもはやComedyで、乗客が笑いだすかも知れません。
何かの余興かな?と。
このCause & Effect も英語理解への非常に大きな関門です。
今度国際線の機内アナウンス(英語圏の航空会社)に注目してみてください。
「あれ?」と思ったら、英語の考え方が理解できる証拠かもしれません。
(バンクーバーより投稿)
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カナダの小・中・高校の教育課程を基にした指導をしています。
クリティカルシンキングの基本が出来た生徒は「カナダの小さな町での留学・ボランティア」
Super World Club (大澤眞知子、Robert McMillan)
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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