大地震で原発が事故になったら、どうすればいい? - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

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大地震で原発が事故になったら、どうすればいい?

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【今日からできる防災 4】大地震で原発が事故になったら

大地震への備えについてこれまで何度か書いてきました。ちょっとはなしが飛んでしまいますが、今回は大地震で原発が被災した時にどういう対処を取ればいいのか、『原発震災』のことを書こうと思います。
(profileでは字数制限があり全文掲載ができませんので、
こちら→http://www.sunaga.org/daily/daily.htm#100309でお読みください)


■大地震では、原子力発電所も被害を受けることがあります。
『日本原子力マップ』からわかるように、この小さな国土を取り囲むようにたくさんの原発があります。 なかでも世界で一番危険な原発と言われているのが静岡県御前崎市の浜岡原発で、東海大地震の震源となるプレートの真上に建っています。 「最大の地震に耐える設計とした」と言いますが、阪神の大地震や新潟県中越地震では想定を越える揺れが起こっていたり、当時は縦揺れが想定されていなかったりと、不十分さが指摘されています。また敷地周辺には活断層も見つかり、原発の真下にも断層が通っていることがわかりました。かつての関係者からも、阪神級の大地震には耐えられないから廃炉にすべきという声や、そもそも岩盤の強度に偽装があったなどの内部告発もあがっています。それでも今なお浜岡原発は実際に稼働しています。そんな浜岡原発で事故が起きると放射能はどう拡散するのか、チェルノブイリで避難勧告が出された半径320kmに当てはめてみると西は神戸、東は茨城、北は新潟までがスッポリ入り、しかも日本は風が北西への向かうので関東首都圏を放射能は直撃し人が住めないエリアとなることが提起されています。
・・・こんなはなし、知っていました? 教育もメディアも肝心なことを私たちに教えてくれないので、自分で調べて学ぶしかないのです。

■ではそれが起こってしまったとき、私たちはどうすれば良いのでしょう?
対策は、家に閉じこもるか、逃げるか、です。放射能が横浜に到着するまで6時間ほどだそうで、その間に判断と行動を完了しなくてはなりません。
逃げるなら、風向きを読んでより遠くへ。しかしただでさえ大地震の直後ですから、道路が大丈夫か、渋滞に巻き込まれるないか、課題もあります。 閉じこもるなら第一波をやり過ごすのに10日ほど。窓や給気口・換気扇に目張りをし、手元にある食料と確保した水で生き延びることになります。準備しておくものは、目張り用の大きいビニールとガムテープ、マスク、食料と水(水道からの水は放射能に汚染されている可能性がある)、ヨウ素剤かヨウ素の含まれた食品(サッと食べるにはとろろ昆布がよい)、暖をとるためにカイロ(石油やガスを燃やすものは密閉空間では一酸化炭素中毒の危険があるので使えない)や電気が止まっていなければ電気ストーブ・ホットカーペットなどは使える。(とはいえ電気で暖をとるのはあまりお薦めできない。電磁波は体の免疫力を低下させるため。電磁波問題についてはまたいずれとり上げます) そうやってまずはジッとやり過ごすことになりますが、空気が汚染されれば雨が汚染され土が汚染され、そこで育つ作物は食べられなくなるので、結局移住するしかなくなります(地価も下落します)。さてどこへ行きましょうか・・・。(でもこんなこの世の終わりみたいな話しは映画みたいで、現実味も感じにくいですね)

■「でも、原子力発電所って"安全"って聞くけど?」
と思われる方もいるかも知れません。もちろん国や電力会社は危険だなんて言いません。しかしながら美浜、東海村、もんじゅ等々、事故はたびたびあり、また事故隠しの隠蔽体質があるのも明らかになっている事実です。危ないと指摘しうったえる活動が後を絶たないのはなぜでしょう? 仕事でもないのに署名を一生懸命集める人がいるのはなぜでしょう? 「なんだろう?」「それホントなの??」と思ったら、まずは自分で調べてみましょう、検索してみてください。安心という思い込みにとどまっていては、ただの思考停止です。知らないことが安心ではなく、積極的に知ることが本当の安全安心に繋がるのではないでしょうか。

■いくつか参考になるものを紹介します
『放射能で首都圏消滅-誰も知らない震災対策』という本をまずは読んでいただくのが一番です。イラストが多くて分かりやすく、要点がまとまっているわりに薄い本です。もしもの時に備えて持っていたい実用的な1冊です。
『ストップ浜岡原発』というサイトでは風に乗った放射能が流れていくシュミレーションや、科学者の証言など動画で見ることができます。
『原発がどんなものか知ってほしい』というサイトには長年原発を建ててきた現場監督さんの手記が掲載されています。原発が最高の技術・最高の品質管理で建てられてきたものではなく、場当たり的につくられてきた実体がとても分かりやすい言葉で語られています。
『浜岡住民との対話』はそのかたの座談会で、原発技術者の本音を知ることができます。
『東京原発』という映画は都知事の「東京に原発を誘致して財政難を切り抜ける!」という英断からはじまるコミカルなストーリーで楽しみながら原発について知ることができます。実力派の豪華出演者ぞろいながらあまり話題にならなかった、とても勿体ない映画です。日本人なら全員が見た方が良いと思うのですが。
『核の警鐘-問われる原発の安全性 (動画1)、(動画2)』はNHKで放送されたフランスのドキュメンタリー番組。過去の大事故の例や、原発稼働の実体、外部へ放射性物質が放出された際の避難シュミレーションから明らかになる想定と現実のギャップの問題などがよくわかります。
『チェルノブイリ原発 隠されていた事実 (動画1)、(動画2)、(動画3)、』というNHKの番組では、チェルノブイリ原発が爆発したあの大事故、その直接原因は直前に起きていた地震だったと報じています。

■いよいよ東海地震かとドキッとしたのが
2009年夏、駿河湾を震源に震度6弱の大きな地震でした。本当に生き延びるつもりなら高速道路が崩れている映像をTVで見た時点で、浜岡原発が事故を起こしている可能性もあると判断して、すぐに家族を帰宅させ、とろろ昆布をムシャムシャ食べてヨウ素で甲状腺を守り、すべての窓に目張りをし、水道水をありったけの容器や浴槽に貯めて、原発の状況についての情報収集をする、という行動が必要だったわけです。結果的には稼働中だった原子炉は緊急停止が成功し危機一髪救われました。
さかのぼる事2007年には新潟県中越沖地震の柏崎原発では煙があがっている映像がありました。こちらも結果的には大事に至りませんでしたが、後にまとめられた事故調査の本を読むと、奇跡的に運がよかっただけのようで、私たちが知らないだけで危機には何度もさらされていたことが分かります。
昨年夏の駿河湾震度6弱の翌月に「東海地震 ひずみがたまり過去30年で最も危険な状態」という報告が出ました。東海地震の”いつ”を知るために観察が続けられてきた、プレート境界のスロースリップの話しです。
そして今月5日、静岡県島田市の温泉では源泉の水位が異常に低下したとのことです。温泉や井戸が急に涸れるというのは大地震の前兆と昔から言われています。浜岡原発にも近い場所ですからちょっと心配にもなります。

(原典:サバイバルデザインHP→http://www.sunaga.org/daily/daily.htm#100309)

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