スタッフにその話を聞いて、いったいそれはなぜなんだろうと思い、歯医者さんに理由を聞いたか尋ねましたが、分からないと言われたそうです。
そこで少し考えてみました。
もともと脊椎動物には下顎がありませんでした。原始的な脊椎動物であるヤツメウナギには、現在も下唇はあるものの、下顎がありません。私たちの顎は顎がなかった先祖の別の場所の細胞が下顎の骨になったものであるということです。
それはどこの細胞だったのでしょうか。それは鰓(エラ)になる細胞の一部が下に下がって顎になったようです。それに対して、上顎はもともと頭蓋骨の一部として発生しています。そして、魚や爬虫類、鳥類の下顎では、顎を開け閉めして「噛む」という二次元的な動きしかできなかったものが、ほ乳類になって左右に動かして「咀嚼する」三次元の動きができるようになりました。
それに伴って、爬虫類までは下顎を構成していた骨の一部がほ乳類では耳小骨として耳の骨となり、大きなひとつの下顎骨だけが残りました。
この咀嚼するという動きは、三叉神経によってコントロールされています。そして、その感覚は歯の付け根に分布している神経が、歯にかかる圧力を関知して微調整を行います。
そうすると、下あごの歯の神経は、咀嚼というほ乳類になって獲得した動きのためにとても重要なセンサーになっていると考えることができます。
だから、下あごの歯を抜くときは痛みが「強い」のではないでしょうか。
SOTカイロプラクティックでも、下顎のずれの問題を重要視し、それが全身の歪みにつながることを理解しています。そして、頭蓋骨の縫合の動きを妨げ、脳脊髄液の圧力変化に影響することで、神経系の働きにも影響すると考えています。
吉川祐介 Wecareカイロプラクティック&ナチュラルケア