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対象:企業法務
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〜KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(5)〜(第3回)
河野特許事務所 2009年8月25日 執筆者:弁理士 河野 英仁
Depuy Spine, Inc., et al.,
Plaintiff-Cross Appellant,
v.
Medtronic Sofamor Danek, Inc., et al.,
Defendants-Appellants.
2001年1月26日原告はMedtronic(以下、被告)を特許権侵害であるとして訴えた。被告はVertax(登録商標、以下イ号製品)なる製品を販売している。イ号製品のスクリューヘッドに隣接する受け部の内部は、球形ではなく略円錐形である。イ号製品及び678特許のクレーム1ともに、受け部における上部開口からスクリューを入れ込み、固定するものである。図3はイ号製品と678特許との対比図面である。
図3 イ号製品と678特許との対比図面
図3中左がイ号製品、右側が678特許である。678特許では球形のスクリューヘッドを受ける受け部(内部窪み球形部)が、右図の”Spherical wall”で示す如く球形”spherically-shaped”であるのに対し、イ号製品の受け部は左図の”Conical wall”で示す如く、円錐形である点で相違する。
原審では、円錐形のイ号製品が、”球形”の678特許を侵害するか否かが争点となった。地裁は文言上及び均等論上も非侵害との判決をなしたが*6。原告はこれを不服として控訴し、CAFCは均等論上の侵害を認めた*7。
差し戻し審において、地裁は均等物であるイ号製品により規定される仮想クレームが自明であるとする被告の陥れ防御を否定し、特許権侵害を認めた。そして損害賠償として約2億2千万ドルの支払いを命じた。被告はこれを不服としてCAFCへ控訴した。 (第4回へ続く)
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