- 背戸土井 崇
- 株式会社SETO 代表取締役社長
- 経営コンサルタント
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
しかし、その「安定」は経営者側と従業員側では、
どうも異なる様です。
同床異夢の状態のまま満足できる経営的成果を出すのは可能でしょうか?
今、企業は大変難しいバランス感覚が必要とされている気がします。
福利厚生 経営に重荷
保養所、健康診断、企業年金…。
日本の企業は、大企業を中心に、従業員に対して、
給与以外にも様々な福利厚生の恩恵を与えてきた。
企業の福利厚生には、厚生年金保険料や健康保険料など
企業の負担が法律で義務づけられている「法定福利」と、
社宅や保養所、住宅手当など、企業が任意で担う「法定外福利」に大別される。
しかし、90年代半ば以降、大幅な見直しが進んでいる。
日本経団連の調査では、福利厚生費全体は、07年度は1人1ヵ月あたり
約10万4千円で97年度比13%増。
現金給与総額に対する比率も0.7ポイント増の17.7%になった。
高齢化を背景に、健康保険料などの法定福利費が
約1万3千円(21%)増えたことが全体を押し上げた。
一方、法定外福利費は抑制され、約1千円(3%)減った。
見直し対象になったのは、社宅や独身寮、保養所などの
「施設(ハード)」が中心だった。
社宅など住宅関連への企業支出は約2千円(13%)減った。
一方、メンタルヘルス対策や育児支援など、
「ソフト」面の充実を測る企業が増えている。
人間ドッグの補助など医療・健康分野の企業進出は41%増えた。
資格取得を支援する自己啓発制度を重視する傾向も強まっている。
−朝日新聞 2009年5月31日刊より抜粋−
労使間 福祉への要望の「差」
会社の要望が高い項目
・自己啓発 会社(34.1%) 従業員(19.7%)
・健康医療 会社(52.3%) 従業員(43.1%)
従業員の要望が高い項目
・生活保障 会社(17.3%) 従業員(36.4%)
・ 住宅 会社(15.6%) 従業員(39.8%)
−明治安田生活福祉研究所の調査から−
あなたは職場に何を望みますか?
上記の労使の要望結果を見ていると、
経営者側は「個」に対してのサポートを考え、
従業員側は家族を含む「単位」としてのサポートを中心に
考えている事がわかります。
逆転の発想をすれば、
従業員に対しては「個」は
各自で伸ばし、「単位」は会社側がサポートする…。
とする事で双方の満足を生み出し、
経営的成果を得る事のできる「強い組織」を生成できるかもしれません。