公訴時効その1(2) - 刑事事件・犯罪全般 - 専門家プロファイル

羽柴 駿
番町法律事務所 
東京都
弁護士

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対象:刑事事件・犯罪

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閲覧数順 2016年12月07日更新

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公訴時効その1(2)

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連載「新・刑事法廷」

公訴時効が撤廃されたら



 もしも、あなた自身の身に次のようなことが起きたら、と考えてみて下さい・・・

 ある日、あなたに警察から呼び出しがきます。ちょっとした交通違反以外には特に身に覚えのないあなたが、何だろうと思いながら出頭すると、異様な雰囲気です。小さく窓もない部屋で係官数人に囲まれて、三十数年前の行動について追及されます。なんでも、当時、近所で起きた殺人事件について疑われているというのです。

 その頃のあなたは、ちょっとグレてやくざな単身生活をしていたことは事実ですし、正直言えば、こそ泥つまり窃盗で逮捕され有罪判決を受けた前科もありますが、人殺しなどはいくらなんでもしていないことです。あなたは身に覚えがないと一生懸命に係官に説明しようとしますが、なかなか信用してくれません。どうも、誰かが事件の現場であなた(らしい人物)を見たと証言しているようです。何かのDNAが同じだとも言われました。

 「そんなバカな、私は絶対そんなことはしていません。だいいち、当時その被害者と会ったことすらありません」と言うあなたに、係官は「それなら、その事件があった○月○日はどこで何をしていたんだ」と追及してきます。

 あなたは必死になって遠い昔のことを思い出そうとしますが、なにせ三十年以上も前のことですから、記憶が残っているはずがありません。たしか当時はあちこちでアルバイトのようなことをしていたはずですが、一所で長続きせずに転々としていたので、勤め先の名前や所在地もうろ覚えです。

かろうじて幾つかそれらしい会社の名前を思い出しましたが、係官たちが調べてみても、そんな会社は残っていないか、残っていても出勤簿などの記録はとうの昔に廃棄されてしまっており、当時の社員もほとんど残っておらず、誰もあなたのことを覚えていないというのです。

 係官たちの追及は厳しさを増します。
「おまえの言うことはいい加減なことばかりだ。勤務先だってデタラメを言っているんだろう。そうでないというなら、ちゃんと思い出せるはずだ。お前が犯人だから思い出せないんだ!」
「このままシラを切っているなら、反省の情もないということで死刑になるぞ!」

「死刑なんて、そんなばかな! 本当に私はそんなことやってないんです」と訴えようとしても誰も信用してくれず、何日かの在宅での取り調べの後、あなたはとうとう逮捕されてしまいました。これから連日連夜の取り調べで厳しく追及されることに、果たしてあなたは耐えきれるでしょうか?