朝は排泄や解毒といった作業に専念するため、食欲が湧かないのは、むしろ当然のことです。人類の食の歴史をみても、朝ごはんを食べるようになったのは、日本では江戸時代からのことで、西洋では近代以降のことです。従って、朝ごはんというものは食べなくとも大丈夫な理屈なのですが、とはいえエネルギー源は必要です。朝のエネルギー源として最適なのは果物です。果物は人間が消化するのに最も負担のかからない食品群です。というか、すでに「消化済み」の状態で木になっているのです。
サルやチンパンジーのような霊長類は、果物を主食の一つにして生きています。チンパンジーなどは食物の50%を果物から摂っています。人間と彼らは1%しか遺伝子が違わないそうです。果物を食べるサルが糖尿病になる・・などとは聞いたことがありません。松田氏によると、人間を含む霊長類は「果食動物」(果物を食べる動物)なのだそうです。ちなみに果物以外の食べ物は・・というと、野菜(木の葉など)と木の実が45%、昆虫など小動物が5%と報告されています。初期人類も、昆虫を食べていたというから驚きです。
昔から「リンゴが赤くなると医者が青くなる」「ミカンが黄色くなると医者が青くなる」などといって、果物が体によい、病気の予防になる・・と伝えられてきました。このような果物をもっと我々は食べるべきだと思います。実際に松田氏は日本の青果業界に働きかけて、果物の効能と美味しさを国民にもっと広く語りかけ、果物の消費量を増加させる運動を起こすように促しています。米国ではそれが成功し、がん患者の減少などの成果が現れています。
例えばリンゴなどは、皮の部分にこそ大切な栄養がぎっしり詰まっています。従って皮を剥いてしまうのは、本来もったいないことです。皮の部分には当然のことながら「色素」が含まれています。この色素というのは、本質的に移動できない植物が、紫外線などから自分の身を守るために備えているバリアの役割りを果たしています。この色素成分に代表される天然の物質が一般に「ファイトケミカル」と呼ばれ、果物や野菜の生命力の源となっており、我々にとって重要な栄養成分でもあるのです。
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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