- 青松 敬明
- ビジネスナビゲーター
- ビジネスコーチ
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
不幸にしてある一定の年齢を超えてしまった以上、もう子供のように努力とは感じることなく言語の習得訓練をすることは不可能です。
しかし、大人には大人の特権があります。
それは、既に母国語を理解できるということです。
子供は、単語を脳に記憶させるときには、他に比較するものがないので、「赤くて丸い食べ物」に遭遇すると、とりあえず丸暗記方式で「りんご」と覚えています。次に「いちご」という物体に出くわしても「りんご」です。そこで間違いを指摘されると、今度は「赤くて丸い食べ物で(既に知っている食べ物である)りんごより小さくてツブツブのある食べ物」は「いちご」と覚え、繰り返し口に出しては無意識に「いちご」が頭に浮かぶようにしていきます。
しかし、大人は「apple→りんご」的に覚えることが可能です。
つまり、脳の中にある「りんご」と表現すべき「モヤっとしたもの」を「apple」としてしまえば良いわけです。
あくまでも言語を習得するのに重要なのは、脳の中にある「ある物体」、「文法」などを各言語に合うように結びつけることです。
幸いにして、母国語において、「ある物体」は「りんご」と理解しているので、今度は「ある物体→りんご」を「ある物体→りんご→apple」と結びつける訓練をしていけば良い訳です。それを繰り返しているうちに、「ある物体→apple」と結びついてきます。繰り返さないとそのその運動回路はできません。
次に「いちご」に遭遇したときには、「りんご」はどうでもよくて、脳の中の日本語で「いちご」と表現すべきモヤっとしたものを「strawberry」と結びつけることが可能です。
そして、「ある物体→いちご→strawberry」を繰り返すことによって、「ある物体→strawberry」の回路ができてきます。
しかし、そんな覚え方をしていても、まだ文にはなりません。
そうであれば、「単語」の回路だけではなく、「文」の回路も作った方が手っ取り早くなります。
「I love you→私はあなたを愛しています」と塊で覚えるということも重要です。
「あなたを愛している」という感情(モヤっとしたもの)は、「I love you」で表現するという回路を作り、既に「単語」の回路ができている「He」とか「We」とか「her」とか「them」の回路と組み合わせることによって、入れ替えが可能になります。
この「入れ替え」は、人間という動物が持っている自然な能力なので、誰でもできることです。それができないと、母国語すら話せません。
子供は、聞いたことを少しづつ話し始めますが、大人は、母国語の能力を持っていることによって、聞かなくても読むことで取り込むことができます。
そのときに、「単語」の回路だけではなく、「塊」の回路も同時に作ることが肝心です。
個人的には、高校や大学の頃に、片っ端から洋楽の歌詞を暗記しました。
1つ1つ丁寧に訳して歌詞を覚えるということを続けていると、音楽とともにある歌詞が出てきたときには、瞬間的に日本語の意味が分かるようになってきました。そして、さらにしばらくすると、日本語訳を思い浮かべなくても歌詞だけで情景が思い浮かぶようになってきました。
「英語の歌詞→歌詞の日本語訳→情景」が「英語の歌詞→情景」となったわけです。
一方で、学校などで習った単語を歌詞の一部と置き換えることで、自分で作れる分の数が増えてきたわけです。
その後は、英語以外の言語の場合も、歌詞を片っ端から覚えるようにしています。
たまたま私の場合は歌がよかったのですが、これは人によって、詩でも映画の台詞でもなんでも興味のある分野で構わないと思います。
(参照:「ロッドスチュワート師匠がやってきた」、「ジャンプ」)
外国語、こうしてみたら(5)に続く