外国語、こうしてみたら(3) - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

青松 敬明
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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月19日更新

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外国語、こうしてみたら(3)

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外国語
〜運動神経〜

 「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」のうち、「話す」と「書く」は能動的な行為であり、「聞く」と「読む」はどちららかというと受動的な行為です。
 「聞く」ときと「読む」ときは、相手のある話なので、こちらの知っている単語や文法(「モヤっとしたもの」)だけでは事が済まず、「話す」や「書く」は自分の知っている単語や文法で表現できます。

 また別の切り口で考えると、「聞く」と「話す」は、耳が外国語を聞くという運動能力を鍛えないといけないし、口が外国語を発音するという運動能力を鍛えないといけないのに対し、「読む」や「書く」は、頭の中で思考することに重点が置かれます。
 ここで重要なのは、「聞く」も「話す」も運動能力を鍛えないといけないということです。
 耳で聞いた音を脳が「モヤっとしたもの」として理解し、脳が口に話させたい「モヤっとしたもの」を外国語の発音に必要な口の筋肉を使って音声として口から出さないといけません。

 日本人の子供の場合、5歳くらいになっても、「お水」が「おみぢゅ」になったりします。
 これは、口の筋肉などが、日本語を発音するためにはまだ十分に鍛えられていないからです。
 生まれてから、毎年365日24時間近く練習を続けてもたった5年では口の筋肉は鍛えられないということです。
 耳に関しては、ここで文章で表現するのは難しいのですが、口ほどではないにしてもある程度時間は掛かっているはずです。特に、耳に関しては、耳が聞いた音を脳にあるモヤっとしたもの(単語や文法)と結びつけるという能力を鍛えないといけません。また、モヤっとしたものの中に実際の単語や文法がなければ、結びつくことはできません。

 子供は、聞いて分かった言葉を口に出し続けることで、言語能力を上げていきます。
 その間に、聞いた音とモヤっとしたものを結びつけるという能力を上げていき、口の筋肉を鍛えながら言葉を発していきます。
 別に、子供だから自然に覚えているのではなく、子供は子供で苦労して言語を習得しているわけです。
 そして、その訓練はほぼ一生続きます。
 大人でも、始めて出くわした母国語の単語ですら、うまく聞き取れなかったり、発音できなかったりします。

 
 例えば、イチロー選手やタイガー・ウッズ選手は、生まれたときから今のようなスイングをしているでしょうか?
 彼らは、ある年齢から、何千回、何万回もスイングし続けて、あるスイング方法を会得し、その方法を頭が考えなくても体が動くまで訓練しています。
 だから一流のプロスポーツ選手であるわけです。
 言語においては、母国語話者がプロスポーツ選手のようなものです。
 外国語に対してのアマチュア選手である我々がプロになるには、少なくともプロである母国語話者と同じかそれ以上の訓練をしないとプロ、つまり外国語話者にはなれないはずです。
 我々は、日本語をもはや無意識に話しています。
 それは、あくまでも、無意識に話せるようになるまでに考えられないほどの訓練を各自がしてきたからでしかありません。

 「3ヶ月で話せる英語」なんて本を買っても、当然不可能です。
 「話す」だけで考えても、口の筋肉がたったの3ヶ月で英語を話せる筋肉になるなんてことはありえないからです。
 もしそんな能力のある人がいたら、3ヶ月でタイガー・ウッズと勝負できるでしょうし、3ヶ月で首位打者を取ることでしょう。

 そして、肝心なことは、イチローもタイガーも、いまだに練習を続けているということです。
 我々も日本語は毎日聞いて、話して、読んで、書いて、訓練を続けています。
 つまり、仮に、驚異的な速さで、いや別に驚異的な速さでなくてもよいののの、なんとか外国語を習得したとしても、その後も訓練し続けないとその外国語能力は一気に低下すると言うことです。
 引退したプロ野球選手が、練習もせずに再度試合に出たら大変なことになってしまうのと同じことです。

 私の場合、カナダに住んでいたときに話していたフランス語を日本に帰ってきて話さなくなって数ヶ月したら、チンプンカンプンになってきました。
 「これはまずい」と思い、その後は一日に1分でも10分でも時間をとって、話すなり聞くなりの練習をしています。
 今では使える言語の数が増えてしまったので、毎日最低合計で30分くらいは、どんな簡単なことでも良いので練習しています。
 運動神経なんてものは使わないと衰えることくらいは、毎日少し歩くだけでよく分かる話です。口の中の筋肉だけは衰えないなんてありえない話です。
 逆に子供の発音が速く上手くなるのは、運動能力が大人よりも優れているからでしかないわけです。


 「外国語、こうしてみたら(4)」に続く