- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
4月11日付の日経新聞に、『遠隔医療は世界で拡大、がっかり足踏み日本市場』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『血圧計などの健康機器で体調データを管理し、スマートフォンで医師の診療を受ける。こうした遠隔医療関連のサービスは投資テーマとして有望なのか。グローバルでは、新型コロナウイルス禍で対面での受診が手控えられた結果、利用者数が大きく伸びている。一方、日本は医療機関のデジタル化への消極姿勢や診療報酬の低さなどから普及のペースは世界に比べ周回遅れだ。視点をどこに置くかによって投資判断は変わりそうだ。。。』
新型コロナウイルスの影響拡大は、欧米などの英語圏市場でのビジネスのやり方を大きく変えました。
医療機器業界もその一つです。私は、ここ10年くらい毎年、世界最大の医療機器展示会委であるMedicaに出席などや、出展企業のマーケティング・販路開拓・集客支援を行っています。
現在、MedicaのWebサイトの検索エンジンに、遠隔医療の英訳であるTelemedicineを入力すると、Medica2021 開催時の実績で、123社が出展しました。日本からは、Telemedicine分野での出展企業は、メロディ・インターナショナル株式会社の1社のみです。
メロディ・インターナショナル株式会社のWebサイトは、以下になります。
この企業は、遠隔医療の機器となる分娩監視装置 iCTGを開発・製造・販売しています。
新型コロナウイルスの影響拡大下で、欧米市場では、遠隔医療のニーズ・需要が飛躍的に高まりました。
一方、日本では、本日の記事で指摘されていますように、新型コロナウイルスの影響拡大下でも、遠隔医療の実施が遅れています。
遠隔医療の実施、つまりオンライン診療の診療報酬の低さが問題になっていましたが、やっと2022年4月1日より改定が行われました。オンライン診療の初診料、再診料、医学管理料は対面診療の点数の87%になりました。このオンライン診療の診療点数は、早期に対面診療のそれと同じにする必要があります。
私は、4月8日に『自宅以外でオンライン診療、規制改革会議が提起へ』に関する考察のタイトルでブログ・コラムを書きました。
この時は、政府の規制改革会議がオンライン診療の利用拡大に向け、新たな規制緩和策を講じていることについて書いています。
日本でオンライン診療が普及していないのは、厚生労働省や日本医師会などの関係機関が、オンライン診療に対して後ろ向きであることによります。
私は、当該ブログ・コラムで書いたポイントの一つが、「患者ファースト」です。国内医療機関の医療技術の質について、専門的な知識・知見をもっていませんが、一般的にはこの質が高いとの印象をもっています。
では、なぜ国内では、オンライン診療が普及しないのでしょうか。それは、オンライン診療が普及すると、個人開業医が自分の経営環境にマイナス影響を与えていると感じていることによります。
国内に名医と言われる医者が相当数、存在します。国内でがんや脳の疾患など、重い病気にかかっている人達は、近辺の医者では解決できないと判断すると、遠くの医者でも診てもらいたいと切実な希望をもって受診を受けます。
重篤な病気を患っている患者や家族が、真剣に名医を探して受診を受けることは、自然であり合理的なことです。
遠隔医療、オンライン診療の普及は、ある医者の受診を希望する患者にとって、受診行動のハードルを下げることにつながります。このことは、患者ファーストにつながります。
一般的な開業医は、オンライン診療の普及が、患者による医者の選別につながるとみているのでしょうか。
患者ファーストの立場からみますと、もし自分の診察や治療技術について向上しようとしない医者がいた場合、受診する患者数が減っても仕方がないと考えます。
患者ファーストの視点からは、医者の世界も競争原理が働くべきです。優秀な医者は、対面診療、オンライン診療の区別なしに、最善の診察と治療を行えると確信しています。
現に、私の周りに対面診療とオンライン診療をきちんと行って、多くの患者から信頼されています医者がいます。
私は、医療分野に対する規制緩和・撤廃をより積極的に行って、医療分野でデジタル活用がより一層進むことを大いに期待します。
本日の記事に、国内で遠隔医療を提供している企業が紹介されています。これらの企業は、国内で規制緩和・撤廃されていない遠隔医療のビジネスは、必然的に米欧などの海外市場を中心に行うことになります。
もし国内市場で遠隔医療が自由にできる環境が整い、国内の医者がより積極的にオンライン診療を採用すれば、関連企業の事業機会が増えて、関連技術やサービスの質が向上することになります。
今後とも、国内の遠隔医療、オンライン診療の普及について、注目していきます。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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