- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
2世帯住宅を大きく分けると、「完全分離型」「半同居型」、そして「完全同居型」の3つに分けられるのではないかと思う。
いずれにしろ、最近は二世帯住居の需要が多い。
夫や妻の親の家を建て直して二世帯住居にする場合が殆どだが、景気の低迷で若い世代の収入減により単独での住宅取得が困難になってきているという状況が反映している。
これまでは「完全分離型」を求めるケースが圧倒的に多かった。
しかし、最近はそれが「同居型」への傾向が強まって来ている様に思う。
その理由のひとつは、完全分離型だと狭い敷地の中に玄関をはじめ浴室、トイレ、キッチンといったお金のかかる設備がダブルで必要になり不経済であるということと、やはりスペースにゆとりがでない、という物理的な問題によるものである。
もうひとつ別の理由を挙げれば、年老いた親は孫と一緒に暮らせる事が嬉しいし、若夫婦にとってみれば、子供を親に預けることができるので、若奥さんはパートをしたり、仕事に就いて家計を助ける事ができる、というメリットがある。
だから、経済が後退してゆく状況にあっては、大家族への回帰が多少とも進むような気がする。
「昔は年金なんかなくても困ることはなかった」という話しを聞いた事がある。
昔の農家では、祖父母、両親、子供といった3世代同居は当たり前で、若夫婦が仕事に精を出しているときは爺ちゃん婆ちゃんが孫の面倒を見、爺ちゃん婆ちゃんが寝た切りになると、嫁さんがそんな年寄りの面倒をみるというのが当たり前だったから、何も問題はなかった訳だ。
小さな子供にとても、爺ちゃん婆ちゃんに色々な事を教えて貰うことができたし、子供ながらに身近な人の死を目の当たりにするという経験もするのだから、十分情操教育的な環境にあったと言えるのだろう。
大家族へ回帰する家族は,決して多くはないだろうが、これからの家族のひとつの流れを見せてくれる様な気がする。
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