社員がやる気を失う原因 〜 ビジネス改革の副作用 - 経営戦略・事業ビジョン - 専門家プロファイル

伊藤 健之
ユー・ダブリュ・コンサルティング 代表
経営コンサルタント

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寺崎 芳紀
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閲覧数順 2024年04月23日更新

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社員がやる気を失う原因 〜 ビジネス改革の副作用

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社員のやる気がない「真の原因」
こんにちは。
グランデコンサルティング 伊藤健之です。

前回コラム「社員の『やる気』がない 真の原因は何か?」の続きを書きます。
コラムリンク

『マネジメントと現場担当者の意識のズレは、かつては現場の頑張りやマネジメントの譲歩
により、お互いに納得できる範囲で調整できていた。しかし、この10年でそれができなくな
ってきた。
これこそが現場の抱える真の問題である』

と前回コラムで問題提起をしましたが、それでは、なぜマネジメントと担当者の間で
意識のズレを調整できなくなったのでしょうか。

個々の問題でなく全体に共通する原因とそこから派生する問題について、今回から2回に
わたって整理してみたいと思います。


メソドロジーに頼ったこの10年のヒジネス改革


この10年の間、市場成熟化・競争激化が進むなか、企業は合理化・効率化を目指して米
国流のメソドロジー(方法論)を使ってビジネスを改革してきました。

具体例を挙げますと、BPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)、見える化(数値化)、
目標管理制度(MBO)、アウトソーシング、成果主義、人材の流動資産化などがあり、
その導入範囲は、経営管理、業績管理、人事制度、業務プロセス、ワークスタイルなど
あらゆる経営領域に渡っております。

業務は、現場の従業員の経験、ノウハウ、やる気、人脈などがあって初めて回っているとこ
ろがあります。これらを「人間的要素」と呼ぶことにします。

一方、メソドロジーの核となる考え方は、業務から論理で説明できる部分を抽出してモデル
化したものです。したがって、メソドロジー導入に当たっては、''論理で説明できない人間的な
要素''まで考慮する必要があるわけです。

そこまで踏まえて初めて、「正しいメソドロジー導入」と呼べるのですが、多くの企業は、分か
りやすい考え方の部分だけを盲目的に導入し、人間的な要素を無視してしまったのはない
でしょうか。


誤ったメソドロジー導入による副作用


ある事象から論理的に説明できる部分だけを抽出したモデルを、それだけ導入すれば成功
すると期待するのはよくあることで、80年代後半に流行したSIS(Strategic Information System)
のときも同じでした。

SISには、その企業の置かれた環境や文化が大きく影響します。成功した企業には必ずそ
れなりの背景があったわけですが、これを無視して単純にコピーする企業が少なくありませ
んでした。

このときは「単なる無駄」で終わりましたが、これは論理が誤っていたとしても、現場が担当
者の経験、知識、工夫などできちんと実務を回していてくれたからではないでしょうか。

そして、この10年の誤ったメソドロジー導入による問題は、''現場そのものを対象として改革
を行ない、実務を回していたこうした人間的要素を傷めてしまったことにあるのではないか''、
私はそう考えています。

その場合、仕事や管理の「あるべき姿」が現状に適合しないものになるだけでなく、放置され
た人間的な要素が疲弊し、機能しなくなる恐れがあります。

もう少し具体的に言いますと、

✓ビジネス環境が変化したにも関わらず・・・
  ↓
✓仕事・管理のやり方に対する問題意識や見直しのアイデアを共有する時間がない(場もない)
  ↓
✓現実にそぐわない仕事・管理のやり方が空回りする
  ↓
✓現場は疲弊し、活力を喪失する
  ↓
✓意見を上げようという活力までも殺がれる・・・

という悪循環が発生するわけです。

メソドロジーは薬のようなもので、使い方を誤ると毒になる恐れがあります。この10年、企業
は使い方を理解せず安易にメソドロジーという薬を服用し、その結果、副作用で体調を崩して
しまったのではないでしょうか。

では、誤ったメソドロジー導入によって、どのように現場の担当者を傷めたのか。
次回は、誤ったメソドロジー導入による副作用の代表例を、我々が現場に行ったヒアリングの
結果からレポートしてみたいと思います。


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