- 野平 史彦
- 株式会社野平都市建築研究所 代表取締役
- 千葉県
- 建築家
対象:住宅設計・構造
中庭形式の住宅は世界の普遍的な住居形式である。
モロッコのフェズなんかが特に有名だが、
地中海地域からイラクなどのメソポタミア、
まさか東洋にはないかと思いきや、
中国にもアメリカのスパイ衛生がミサイル基地と勘違いした
「福建土楼」がある。
これらはおよそ外敵から身を守るための住居形態だったが
中東などの都市では
貧しい庶民が大多数の住民の中にあって
その住居の大きさや豪華さを傍目から知る事のできないので
他の住民の嫉妬を恐れる裕福な住民にとっては
ありがたい住居形式だった。
そうした意味では街の為政者が住民を統治する上で
有効な住居形式でもあったと言われる。
日本においては、この中庭形式の典型的な例が見当たらないのが不思議だが
京の町家には「通り庭」という独特の形態の中に
その変形を見る事ができる。
現代日本の都市型住宅における「中庭形式」は
安藤忠雄の「住吉の長屋」によって有名になったが
それは、気候風土に関わらず、高密度な都市にあっては
今でも「中庭形式」が有効であることを示している。
さて、新興の住宅地にあっては、
その土地がどの様に街を形成してゆくのか読み取る事は難しい。
この家は、廻りの環境の変化に影響される事無く
開放的で、プライバシーが守られる家として「中庭形式」が採用された。
しかし、街に対して完全に閉じてしまうのではなく
高窓と、ひとつだけ外界を覗く窓を設け
街の灯のひとつとしての役割を持たせている。
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