- 釜口 博
- BYSプランニング ファイナンシャルプランナー
- ファイナンシャルプランナー
対象:家計・ライフプラン
1.雇用保険の介護休業制度、現行制度の問題点
親の介護に備える公的保障として、雇用保険の介護休業制度があるが、現行制度は実態に即していないといわれている。 【現行制度】
1.介護休業は1人の親に対して、原則1回のみで最長93日間。 2.65歳以降に再就職した場合、雇用保険には加入できなかった。 3.介護休業の認定基準が、要介護2~3程度。 祖父母や兄弟姉妹の介護では、扶養し同居していることが条件。 4.介護休業給付金は現賃金の40%(本年8月より67%へ改正済)。
2.介護休業制度は良い方向へ改正される
「アベノミクス」第2ステージとして「新3本の矢」を打ち出した安倍首相。その1つの施策である「介護離職ゼロ」この施策を推し進めるため、雇用保険も制度改正が行われた。
【来年1月からの改正点】
1.介護開始日から終了までの期間をそれぞれ3回に分けて、取得することができるようになる(最長93日は変更なし)。 現行制度だと、1人の親の介護に関して一度介護休業制度を利用してしまうと、職場復帰後は原則休業できずに、やむを得ず離職する人も少なくない状態であった。 2.65歳の人が再就職した場合でも、雇用保険に加入ができるため要件を満たせば介護休業給付が受け取れる。 現状の日本では、「老々介護」が珍しくありませんので、この改正はとても現状に即した内容である。
雇用保険の被保険者であるということは、失業した際に受け取れる基本手当(高年齢求職者給付金)も対象であり、教育訓練給付金も条件を見たせば対象となる。 3.要介護2以上または要介護1以下でも、歩行や排泄など12項目のうち一定条件を満たせば対象となり、祖父母や兄弟姉妹の介護に関しても同居の条件がなくなった。 例えば、現行制度だと離職しか方法がなかった遠方に住む祖父母の介護のためであっても、来年1月以降ならば休めるようになる。 4.1~3の制度改正に先立ち、介護休業給付金は本年8月より現賃金の67%となった。 現行制度の受給者は昨年度で約1万人。 富士通マーケティングが昨年10月に行ったアンケートによると、家族を介護している30歳以上の会社員200名のうち、介護休業制度を利用した会社員の割合は11.5%。 介護休業給付金が賃金の67%になったことで、利用が促進されるだろう。
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