- 星 和美
- グレータープレゼンス 代表
- パーソナルコーチ
対象:コーチング
あるところに一匹のいも虫がいました。
いも虫は、いつか自分が蝶になることを知っていました。
ずっと地をはう生活をしているいも虫にとって、それは大きな楽しみでした。
きれいな羽でひらひらと舞いながら、日の当たる花畑を散歩するんだ。
おひさまの下で自由にとぶんだ。
いも虫はその日が来るのをずっと待ちわびました。
ある日、さなぎになるときをむかえます。
いも虫は自分の体が変化していくのに意識を向けながら、枝にしがみついてじっと耐えました。
そして、とうとう羽ばたく日が来ました。
どれほどこのときを待ったことか。
ところが、いも虫を悲劇が襲いました。
彼は蝶ではなく、蛾だったのです。
蛾は夜行性。
昼間の花畑をとぶことはないのです。
蛾はがっかりしてしまいました。
ずっと楽しみにしていたことはもうできない。
みんなから嫌われるかもしれない。
彼は毎日、打ちひしがれました。
もうとぶのをやめてしまおうと思いました。
そんなとき、彼はものすごく大きな音を聞きました。
今までに聞いたことがないような爆発するような音。
彼は、その明るさにびっくりしました。
そして、見渡すと周りにはたくさんの人がいることに気がつきました。
彼にはそれが花畑のように見えました。
子どもの花々と一緒になって遊んでいるように感じたのです。
蛾はその日から、毎晩やってきては去っていく花畑を心から楽しみました。
夏が終わるまでずっと。