- 渡邊 浩滋
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平成26年12月30日に発表された、平成27年度税制改正大綱から、大家さんに影響がありそうな税制改正を、ピックアップして解説します。
税制によって大家さんの経営に大きな影響が与えられます。どのような改正が行われようとしているのか確認しておきましょう。
なお、税制改正は、まだ正式に決定されておりませので、ご注意ください(例年3月の国会承認で決定)
今回は、海外財産、相続税の補足に係る税制改正を中心に解説していきます。
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●国外転出をする場合の譲渡所得の特例の創設
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(1)みなし課税
平成27年7月1日以後に、1億円以上の有価証券等の金融資産を所有している人が出国する場合には、原則として出国時の時価で売却したものとみなして課税する。
出国後5年以内に帰国した場合で、課税された金融資産を、出国時以後も所有しているときには、課税を取り消すことができる。
(2)納税猶予制度
この規定により課税を受ける人が申告することにより、最大10年間、納税を猶予することができる。
出国後10年以内に帰国すれば、課税をなかったことにできる。
毎年の届出書が必要で、納税猶予中に売却した場合には、納税が必要になる。
富裕層の海外移住による税逃れを防ぐ対策として、新たに創設されます。
海外居住者については、国内源泉所得のみ課税されます。
国内源泉所得とは、
〇日本国内にある不動産の譲渡や賃貸
〇日本に滞在する間に行う日本法人の株式等の譲渡
などが該当します。
日本にある不動産を賃貸や売買した利益は、どこの国にいても日本の所得税が課税されます。
しかし、海外移住して株式を売却した場合には、日本の所得税は課税されないことになります。
それを見込んで、富裕層が税金が安いシンガポールなどに移住することがあり、その税逃れを防ぐため、海外移住しようとする際に、株式を売却したものとみなして税金をかけることになります。
このような規定は、海外では既にあり、それを日本にも導入するものです。
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●非居住者に係る金融口座情報の報告制度
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平成29年1月1日以後、海外に居住する人が国内の金融機関に預けている財産の金額、財産の運用、譲渡などの事項を税務署に報告する義務を設ける。
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●財産債務明細書の見直し
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平成28年1月1日以後に提出する財産債務明細書の対象者を、その年の所得金額が2千万超に、下記の者を加える。
・その年の年末において有する財産の価格の合計額が3億円以上
・その年の年末において、国外転出する場合の譲渡所得の特例の対象となる有
価証券等を1億円以上
時価または見積金額で記載する。
有価証券等については、取得価額も記載する
提出の有無により、所得税又は相続税の過少申告加算税を加減算する特例措置
を講じる。
詳細な内容が出てみないとわからない部分がありますが、財産債務調書の海外資産版である「国外財産調書」と比較してみると
≪借入金を考慮するかどうか≫
3億円の金額が借入金を控除した後の金額か、借入金は考慮しないのか不明ですが、国外財産調書は、借入金は考慮しない金額で判断することになっているため、財産債務調書も同じようになると思われます。
≪提出しない場合の罰則について≫
提出しない場合の罰則はないと考えられます。
与党税制調査会資料にも「不提出及び虚偽記載に係る罰則規定は設けない」と記載されており。
税制改正大綱にも、罰則の記載はありませんでした。
なお、国外財産調書は罰則あり、当時の税制改正大綱には罰則規定を設ける旨の記載がありました。
しかし、それでは今までの「財産債務明細書」と同じようになってしまい確実な提出が見込めないことになってしまいます。
(財産債務明細書には罰則がないため、提出しなくてもお咎めはありません)
ある程度ペナルティを設けることなるのか、詳細な情報を待ちたいと思います。
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〇大家さんへの影響と対応策
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平成27年から相続税が増税されることも影響しているのでしょうが、いずれも富裕層や資産家に対する課税を強化しようという改正です。
税務署としては、いかに保有資産を把握し、譲渡や相続した際には、漏れなく税金を取ることに注力しているように思えます。
今後、マイナンバー制度もできることから、所得や財産の情報が国に管理される傾向にあると考えられます。
特に、海外居住者については、各銀行に、顧客の資産状況を出させる制度も出きるようです。
恐らく外国政府との連携も強めて、海外資産についても漏れなく把握する仕組みになるでしょう。
課税逃れや脱税はもちろんいけませんが、今まで出来たようなアクロバティックな節税方法は難しくなります。
際どい節税を行うよりも、正当な節税をコツコツしていくことがよいのではないでしょうか。
相続税であれば、早め早めに対策をするのがよいです。
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