海外ロングステイヤーの日本株取引の対処法「常任代理人契約」 - 海外移住・海外転勤 - 専門家プロファイル

吉野 充巨
オフィスマイエフ・ピー 代表
東京都
ファイナンシャルプランナー

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大澤 眞知子
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(カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
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閲覧数順 2024年04月26日更新

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海外ロングステイヤーの日本株取引の対処法「常任代理人契約」

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予てより、私のHP等で、海外に出国されているロングステイヤーの皆様には、日本のネット証券では、日本人の(日本国)非居住者方達はネット取引が出来ないと、紹介してまいりました。もし、海外に在留されながら、日本での取引を希望される方は、常任代理人を日本におかなければならないこともお伝えしています。

そのため、従来は、海外に移住される場合は、非居住者でもネット取引が可能な外国(米国)の証券会社に、日本にいる間に口座を開設しておき、海外に居住された際にその口座で日本株を取引する仕組み(順法)を提案していました。

⇒海外に住む予定者は、非居住者でも取引できる海外のPB・証券会社を検討しよう。
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/31499/

今回、その常任代理人業務を行うことが可能な日本の証券会社が見つかりましたので、その内容を紹介します。(但し、居住国等においては、常任代理人口座を開設できないケースもあります。)その証券会社の名称は宣伝と取られることを避けるためにA社として書きます。ただし、グーグルで「常任代理人業務 証券会社」と検索すれば分かります。複数出てきて選択できない場合には、小生までお問い合わせください。

【弊社は紹介料等のコミッションを取りません。ロングステイアドバイザー&PBとしてお客様とのコンサルタント・フィー(相談料)のみです。】

対象となる方は3つのパターンになります。
1.現在、日本で株や債券を売買していて、海外長期ロングステイ(領事館に居留届を提出する)を検討されている方。または、海外赴任が決まっている方など、非居住者予定の方。

2.すでに海外に居住していて、日本株の売買を今後お考えの日本国籍の方。

3.すでに海外に居住されていて、日本に保有されている株式・債券が凍結されてしまっている方。

の3パターンに分かれます。

当該証券会社の常任代理人業務の範囲は、以下の全部または一部となります。
・お客様の口座の管理。(=当該証券会社に口座を開設する必要があります)。
・証券から得る配当等の証券果実の代理受領及び管理。
・新株否受け権の行使または処分
・議決権の代理行使。
・有価証券の取得、処分、移転等に関する諸法令の許可申請、届出等の手続きの代理または代行。
・その他前各号に付帯する事項
従って、後述する不便さはあっても、日本に在住している際の証券取引と同様な売買・配当の受け取りが出来ます。

ただし、特定口座はありません。非居住者の場合、日本国内に恒久的施設を有するか否かによって課税所得の範囲が異なります(例えば家賃収入を得ている不動産の所有等)。また、租税条約締結国においては、租税条約に基づく配当に対する税の軽減・免除などの適用関係の影響が及ぶことに為りますので、税制面に関しては所在国及び日本国の両面での課税制度を勘案する必要があります。まずは、ご自身で日本の税務署並びに顧問税理士等の専門家にご相談ください。(当該A証券案内書の記載を参考としています)

★常任代理人契約のコストは極めてリーズナブルです。年間で十数万円です。先日、私
たちFP仲間の月1会合で、当該事項を紹介したところ、証券会社を退職された方から、その程度の費用で契約できるのであれば安いのではないかとのコメントを頂きました。

★海外からの取引方法は、

海外からの取引は、電話又はメール等になります。従って、ネット取引とは異なる時間差が伴います。また、取引報告書等の書類もお手元に届く日数が掛るだけではなく確実性が保てないことがA証券のパンフレットに記載されています。
頻繁な取引や急な取引の際には対応できない可能性があることも、案内書には記載されています。インターネットとは異なる時間的な余裕等が必要です。デイトレードは全くの対象外とお考えください。そのようなニーズがある場合には、先に紹介した米国のネット証券の使用をお勧めします。

1.これから海外に出て非居住者予定者の場合は、手続きは以下のとおりです。
・当該A証券に口座を開設する。
・もし、他の証券会社に保有する株式や債券がある場合には、A証券にそれらの証券を
移管、または売却の上、A証券で再購入する。
ただし、売却されますと譲渡損益が発生しますので、それを避けるには移管の手続き
をお勧めします。移管費用は単元ごとに掛りますので、コストは通常の売買手数料よ
り高額になるケースが発生します。(移管費用は、証券会社等により異なりますので、取扱証券会社にご確認ください。)
・海外で暮らすことが決まりましたら、A証券から常任代理人契約書のひな形を得て出国ください。その際に契約する際に必要な書類(在留証明等)をA証券にてご確認ください。
・非居住者となり海外の住所等が確定した場合、居住地の領事館等で在留証明等を取得
します。その在留証明書と共に必要事項を記入してA証券に送付してください。
・A証券と常任代理人契約を締結し、常任代理人口座が開設されます。
・当初開設していた一般口座の預り証券等を常任代理人口座に移行します。
★在留届とは
旅券法第16条により、外国に住所又は居所を定めて3か月以上滞在する日本人は、その住所又は居所を管轄する日本の大使館又は総領事館(在外公館)に「在留届」を提出するよう義務付けられております。
外務省の下記HPを必ずお読みください。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/todoke/zairyu/


・現地の銀行口座開設は長期ロングステイをされる際には必須です。
それも登録してください。なお、小生はFSB(金融安定化委員会)が管理強化対象のリストに上げている29行(一般的に「大きすぎて潰せない銀行」として認識されています)の本・支店または傘下にある銀行をお勧めします。
ちなみに、国内の銀行では、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3行
です。
どの様な銀行があるのかは、日本銀行のホームページにあるFSBの書面をご確認ください。29行が掲載されています。
2013 update of group of global systemically important banks
http://www.financialstabilityboard.org/wp-content/uploads/r_131111.pdf

2.すでに海外に居住されていて、これから日本の上場企業・債券の保有を検討されている方(日本の株式等未保有)は、日本にお仕事・休暇などで一時帰国される際にA証券と常任代理人契約を締結し、常任代理人口座を開設してください。

3日本で株式等を保有されていらっしゃった方で、すでに海外に居住(日本国非居住者)
されていらっしゃる方は、手続きが面倒です。現在保有されている証券はそのままにして、これから購入するものだけが対象であれば、前述の2.のケースになります。
現在保有している証券等も対象とされたい方は、現在取引されている証券会社や金融機関等にご相談いただくこととなります。(私は許可される可能性は極めて低いと考えています。)

★常任代理人とは
常任代理人とはどのようなものなのかは、私の下記コラムを参考としてください。
「転勤・移住などによる海外からの投資 必要な準備と注意点」
http://manetatsu.com/2013/07/20629/

「個人投資で海外に転勤・移住をお考えの人は証券口座の準備が必要」
http://profile.ne.jp/w/c-113451/

海外に住む予定がある場合、海外の証券口座の準備が必要(日本の証券会社の現状2)
http://mbp-tokyo.com/officemyfp/column/31485/

★常任代理人とは
常任代理人とは、外国に住所または居所を有する投資家が選任する国内の代理人です。つまり、日本人で海外に長期ロングステイをされ、その国で在留届を出された、非居住者も日本国内での取引を継続される場合には。常任代理人の選任が必要になります。

何故ならば、
日本の上場会社は定款または株式取扱規則において、株主が外国に居住するときは日本国内に常任代理人を選任してその住所・氏名・印鑑を届けるか、または通知を受けるべき場所(仮住所)を定めて届けるべきことを定めています。従って日本の場合には法令上の定めではありません。

なぜこのような規則を置いているのかといいますと、それは、会社の株主管理負担軽減のため採用されているものです。上場企業だけでなく、非上場会社においてもそのような規則を定めていることが多いのが現況です。

つまり税法上の非居住者の要件を満たすかどうかにかかわらず、投資家が外国に転居(住所地を変更)する場合は投資先の会社(通常は株主名簿管理人)に対し、常任代理人または国内の仮住所を届け出なければなりません。
株式のほか、社債などの有価証券を保有する場合も同様です。

常任代理人の業務は、株主・社債権者を代理して当該有価証券に関する権利を行使し、会社からの通知を受領する等の権限を行使します。
銀行・証券会社が日本国内におけるカストディ業務を担当する場合は、当該業務の一部として常任代理人の業務を行う。その他、投資家と関連があるとみられる日本国内の事業会社を選任するケースもあるし、個人株主の場合などでは親族・友人などの自然人を常任代理人として選任することもある。どのような形態にしても、日本企業の株主として、権利を行使しようとする場合には、常任代理人を設置することに為ります。

★日本のネット証券の対応。
一方、日本のネット証券及び対面の証券会社の多くは、(日本の非居住者になられた)海外ロングステイヤーのネット取引を受け付けていません。上記の規則だけでなく、本人確認が出来ないことによる、マネーロンダリングや反社会的勢力等の排除、また、居住されている国の税法等の確認が出来ない(煩雑且つ事務コスト含む)などの理由により口座の凍結又は解約をお勧めしています。
なお、ネット取引であれば、分からないのではないかと、思われる方達が大勢いらっしゃいます。短期間で海外に出て、お帰りになる場合は、ネット証券でも構わないと思いますが、在留届を出す、長期間の居住者の場合には、是非常任代理人、または海外の証券会社をご検討ください。
郵便物が届かない(住所が海外のため)、本人への通知が出来ない、インターネットが海外のサーバーを経由している等々で、証券会社が非居住者と認識するケースが増えています。現に私のもとに「凍結されてしまった」との電話・メールを頂くことがあります。法的な対応とリスク回避の観点から、複数の手段を提供しています。

文責
FP学会会員
独立系顧問料制ファイナンシャル・アドバイザー
オフィス マイ エフ・ピー 代表 吉野 充巨
ファイナンシャル・プランニングプラス投資助言で人生設計から資産形成まで一貫してサポート
保険や投資信託を販売しないファイナンシャル・プランニングの専門家。
あなたのセカンドライフ・プランに適した期待リターンとリスク許容度で資産配分とポートフォリオ構築を口座開設から銘柄選定までサポートします。

【保有資格】
ロングステイ財団登録ロングステイアドバイザー兼登録講師
ファイナンシャル・プランナー:日本FP協会認定CFP®
日本証券アナリスト協会認定 プライマリー プライベート・バンカー

『このコラムは、投資判断の参考となります情報の提供を目的としたものであり、有価証券の取引その他の取引の勧誘を目的としたものではありません。
投資による損益はすべて読者・ご相談者ご自身に帰属いたします。投資にあたりましては正規の目論見書、説明書等をご覧いただいたうえで、読者・相談者ご自身での最終的なご判断をお願いいたします。
本コラムは、信頼できると判断した情報に基づき筆者が作成していますが、その情報の正確性若しくは信頼性について保証するものではありません。』

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